職業としての小説家 村上春樹


 2016.6.23      昔は批判されつづけた作者 【職業としての小説家】

                     
【新品】【本】職業としての小説家 村上春樹/著
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■ヒトコト感想
作家村上春樹が職業としての小説家を語る。今までの作者のエッセイとは一味違う、まじめに小説家という職業を語っている。特に興味深いのは、作者自身が日本で様々な批判にさらされてきたと語る部分だ。売れっ子作家でありながら、文壇から激しい批判にあう作者。「ノルウェイの森」が大ヒットしたことをよく思っていない人が沢山いたのだろう。

今や、新作をだせば大ヒットする作家として認知されてはいるが、当時はすさまじい逆風を受けていたというのが想像できる。海外へと飛び出した作者が、今やノーベル文学賞の候補になるほど有名となる。となると、今まで作者を批判していた者たちは、途端に手のひらを返すしかないだろう。

■ストーリー

いま、世界が渇望する稀有な作家──村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊!

■感想
作者がどのような思いで小説を書いてきたのかがわかる作品だ。エッセイのように少しだけ触れるのではなく、そのものについてしっかりと書かれている。そのため、最初の作品が生まれてきっかけや、ちょっと間違っていれば小説家にはなっていなかったことなど、非常に興味深い裏話となっている。

さらには、作家として必要と思うことに、体を鍛えるというのがあるらしい。作者が走っているのは知っていたが、小説を書くことに必要だからとは思わなかった。

本作で最もインパクトがあるのは、作者自身の口からさまざまな批判にさらされてきたと語る部分だ。章が変わってもその記述をあちこちで目にしたので、相当根にもっているのだろう。批判にさらされることにうんざりして海外へ移住し、アメリカで大ヒット作家となる。

日本で散々作者のことを批判してきた人たちは、今の現状をどのように考えているのだろうか。今となってはあからさまに批判することはできないだろう。これでノーベル文学賞をとったりしたら、もはや作者は歴史的偉人になってしまう。

その他作者の小説を書く上でのスタンスについても語られている。規則正しい生活をし、1日5時間だけ小説を書く。たったそれだけの作業で、あれほどの作品が生み出せるのかと驚かずにはいられない。特に激しい物欲があるわけでもない作者。

ジャズ喫茶を経営していた時の苦労はかなりのものだったようだが、今の状況はかなり楽なのでは?と思わずにはいられない。書けば売れる作家として、日本の出版社や関係者からかなりチヤホヤされるであろうが、作者に関してはそんなことはまったく気にしないのだろう。

作者が根にもつほど批判されていたのは驚きだ。



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