レオナルドの扉 真保裕一


 2015.8.7      キテレツ大百科的だ 【レオナルドの扉】

                     
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■ヒトコト感想

レオナルド・ダ・ヴィンチをテーマとした物語。イタリア人の少年ジャンが、ダ・ヴィンチの隠された秘密のノートを発見し、そこに描かれた様々な秘密兵器でナポレオン率いるフランス軍の追っ手たちと闘うという話だ。

どことなく、ドラえもん的というか、ダ・ヴィンチが残したノートには様々な機器の作成方法が書かれている。手先が器用なジャンは次々と秘密の機器を作りだし、ノートを追い求めるフランス軍から逃亡し続ける。秘密の機器がかなり特殊で、まさにピンチに陥ると秘密道具に頼るのび太のような感覚かもしれない。作者があとがきで書いているように、アニメやマンガ原作をイメージした作品なのだろう。

■ストーリー

イタリアの小村に住む若き時計職人ジャンは、祖父ベルナルドの技術を受け継ぎ、村の機械の故障を一手に引き受ける働き者。暇な時間は村長の息子ニッコロとともに、秘密基地で「自走車」の模型を作ったりして遊んでいた。

そんなある日、村にフランス軍が侵攻し、ジャンの父であるコラードのことを聞きたいと脅される。ジャンが幼い頃に姿を消した父の失踪の理由には、どうやらレオナルド・ダ・ヴィンチが遺した秘密のノートが関わっているようで…。ナポレオン率いるフランス軍が狙うノートの在処は―!?

■感想
様々な分野で圧倒的な実績があるレオナルド・ダ・ヴィンチ。その末裔と技術を受け継いだ少年ジャンが活躍する物語。ナポレオンがヨーロッパで幅を利かせた時代。ナポレオンが追い求めるダ・ヴィンチの秘密のノート。それを偶然見つけてしまうジャン。

定番として、ナポレオン率いるフランス軍が悪として存在し、ジャンと祖父のベルナルドは純粋で、フランスの魔の手からイタリアを独立させようとする勢力と協力しながら、逃亡の道をたどる。ナポレオンの心理描写もあり、ナポレオンが純粋な悪と描かれないのがポイントだろう。

ジャンたちが逃げ出す過程で、フランス軍以外にもダ・ヴィンチの秘密のノートを狙う勢力は存在する。それらから逃げ続ける中で、特別に手先が器用だという描写がしつこいくらいにされていたジャンがダ・ヴィンチのノートを見て、秘密の機器を作り上げる。

それは水陸両用の飛行船だけでなく、涙が止まらなくなる薬など、多種多様だ。その時代には存在しない機器やクスリを持つジャンたちが、追っ手に追われピンチになると、クスリや機器を使って脱出する。アニメ化にしやすそうな流れだ。

ノートを見ただけでなんでもノートに書かれたように再現できるジャン。昔からあるテレビアニメのパターンに似ている。秘密道具を出すドラえもん。キテレツ大百科にも近いかもしれない。過去の天才の遺産を使い、現代で大活躍する。

序盤だけ読むと、まるで「ダ・ヴィンチ・コード」のように隠されたダ・ヴィンチの謎を解き明かす類の物語のように思えるが、最後まで読むと、結局は単純明快なアニメ的物語だと気づいてしまう。

たまにはこの単純さも良いのかもしれない。



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