ラオスにいったい何があるというんですか? 村上春樹


 2016.5.14      くまもんをディスる作者 【ラオスにいったい何があるというんですか?】

                     
ラオスにいったい何があるというんですか? [ 村上春樹 ]
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■ヒトコト感想
村上春樹の紀行文集。作者独特の旅の楽しみ方と、わりとマニアックな場所へと旅しているのがポイントなのだろう。作者が昔住んでいたギリシャやアイスランド、アメリカ各地でなぜか熊本まで、作者が旅先でどのようなことを考え何をしてきたのか。ガツガツと観光地で名所を楽しむというタイプではないだけに、その国の本当の魅力というのを逃している可能性がある。が、作者のようなユルイ旅というのにも憧れてしまう。

旅先で規則正しい生活をする。朝はジョギングと仕事をし、夕方からバーに行く。別に日本でも同じことができるのではないか?と思ってしまうが、すさまじい透明度の海や、日本にはない大らかさというのがあるのだろうか。普通の旅ではないが憧れてしまう。

■ストーリー

「旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない」村上春樹、待望の紀行文集。アメリカ各地、荒涼たるアイスランド、かつて住んだギリシャの島々を再訪、長編小説の舞台フィンランド、信心深い国ラオス、どこまでも美しいトスカナ地方、そしてなぜか熊本。旅というものの稀有な魅力を書き尽くす。写真多数を収録。

■感想
作者のサラリとした文体で、旅先で特別なことをするわけではないのんびりとした紀行文が集められた本作。よくある旅エッセイのようにその作品を読むと、そこに旅したくなるというたぐいの作品ではない。

作者の作品をよく読む人であれば、作者のプライベートのスタンスをよくわかっているので納得の内容なのだろう。あまり知らない人が読むと、なぜ旅先で普段と同じ生活をするのか?だとか、もっと名所を観光したり、名物を食べたりしないのか?と思うような文章が盛りだくさんだ。

作者がいち時期ギリシャに住んでいたのは有名な話だ。「ノルウェイの森」でブレイクする前にすでに海外で作家活動をしている。現在の作者を考えると、売れない時期と売れっ子の時期でもそこまで変化はないのだと思わされる記述だ。

ギリシャで生活するのは当然言葉の問題があるが、作者は英語がペラペラなのでそのあたりは心配ない。ギリシャの青い空と澄んだ海での生活。一瞬、ちょっと憧れてしまうが、今の日本の便利さに慣れた人にとっては、辛い生活だというのは容易に想像がつく。

ラストはなぜか熊本旅行の紀行文となっている。熊本と言えば何か。作者の文章を読んでいると、なによりも「くまもん」が印象深いように感じられた。そして、少しだけくまもんをディスっているように感じられてしまう。

確かにどこもかしこもくまもんだらけだと嫌気が差してくる。他の海外と比べても、熊本編は割とごく普通の旅エッセイのようになっている。他の海外は、日々の仕事で酷使した体を癒すと言う意味で行ってみたいと思うが、熊本は特に思わなかった。

あからさまにくまもんをディスっている



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