涙はふくな、凍るまで 大沢在昌


 2016.3.29      ロシアマフィアと絡むサラリーマン 【涙はふくな、凍るまで】

                     
涙はふくな、凍るまで新装版 [ 大沢在昌 ]
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■ヒトコト感想
前作では誰もがイメージする大阪を舞台に、普通のサラリーマンが災難にあうという物語だった。今回も、坂田が北海道の地で災難にあう。前作ほどボコボコにされたり、ヤクザに激しく脅されるということはない。ただ、相手がロシアマフィアなので、暴力で脅されるというよりは、いっきに命が無くなるという状況になりえる。前作よりも命の危険度でいえば上がっているだろう。

物語の流れとしては、平凡なサラリーマンがなぜかハードボイルドの主人公のごとく、ロシアの美女を助けようとする。ただのサラリーマンがでしゃばりすぎな気がするが、不運に見舞われ災難に巻き込まれるのが坂田の宿命なのだろう。普通の平凡なサラリーマンが、これでもかと災難にあう物語だ。

■ストーリー

日本一不運なサラリーマン、第二の事件! 出張で北海道を訪れたサラリーマン坂田は小樽港で屈強な男たちがロシア美女を追い掛け回す場面に遭遇。手ひどく殴られ停泊していた船に閉じこめられてしまう。救い出してくれたクラープと名乗るロシア人は、命を助けた礼に稚内まで届け物をしろと言い……。

■感想
不運なサラリーマン・坂田が、今回は北海道の地で災難に巻き込まれる。札幌、小樽、稚内とちょっとした旅物語のように、観光地や名所を描くのはこのシリーズの特徴だろう。稚内へ向かうバスについては、かなり快適な旅なのだろうと思わずにはいられない。

北海道にあまりなじみがないので、どれだけ北海道をそのまま描いているのかわからない。ただ、極寒の地というイメージのあった稚内が、実はそこまで寒くないということに驚かされた。

ロシアマフィア内部でのごたごたに巻き込まれた坂田。事の発端は、坂田がロシアの男たちに追われている美女を助けたことから始まる。よけいなことに手を出す坂田。そして、危険な目に合うとわかっていながら、逃げ場がないというのもあるが、危険地帯へ入り込んでしまう。

さっさと警察へ駆け込み、マフィアから命令されたことは無視して東京へ逃げ帰れば良いのでは?と思ってしまう。前作は、大事な書類を取り戻すという仕事があったが、今回は仕事とは全く関係ないため、逃げ出そうと思えば逃げ出せたはずだ。

前作のように坂田が激しくボコボコにされることはない。が、相手はロシアマフィアなので命の危険が伴うことになる。坂田が最初に襲われた時も、へたをすればそのまま極寒の海に放り込まれていたかもしれない。

それほど過酷な場所に身を置きながら、逃げるチャンスがありながら、美女を助けるだとか、麻薬売買を阻止するなんていう正義感を働かせる。本作を読んでいると、坂田が情けないのか、勇気ある人物なのかわからなくなる。誰もが逃げ出したくなるシチュエーションで踏ん張るのはすばらしいが…。

坂田は間違いなく普通のサラリーマンではない



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