マレー半島すちゃらか紀行 若竹七海


 2015.10.16      独身三十路女子たちの旅 【マレー半島すちゃらか紀行】

                     
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■ヒトコト感想

作者を含む、独身三十路女性がマレー半島を旅する。この手の旅エッセイで東南アジアというと「深夜特急」のイメージがある。本作では貧乏旅行なわけではない。現地の物価に合せると必然的に費用を抑えた旅行になる。あえて高級ホテルに泊まるということはせず、そこそこのレベルで、タクシーを使えばバスにも乗るし値段交渉もする。

その過程で様々なアクシデントが発生する。作者たちは、トラブルとは言わないまでも、ちょっとしたアクシデントをネコブルと言う。トラほどではなくネコ程度だ、ということらしい。ごく普通の旅エッセイと言えなくもない。ただ、女性三人なので危険なのでは?と思う場面もある。

■ストーリー

ある時はオバケに悩まされて眠れぬ夜を過ごし、またある時はしつこいオヤジのナンパ攻勢に困惑、ジャングルではヒルの襲来に悲鳴をあげる。「なんで、こんなことにぃ!」―。でも、私たちは負けない…。3人の独身三十女が、寄る年波をものともせず、好奇心の暴走するままに南国・マレーシアをすちゃらか跳び歩き、見て聞いて食いまくった怒濤の16日間。

■感想
日本人女性は若く見られるというのは定説のようだが、作者たち三人は23歳とサバを読んでも通じるらしい。女性三人での旅となると、現地人からのナンパもあるようで、そのあたり困惑しながらも、どこか誇らしげに感じているような記述もある。

東南アジアの旅となると、マラリアや食中毒などあまり清潔なイメージはない。蚊帳がないと夜眠れないだとか、生水は決して飲んではならないとか、それなりに大変な旅であることは間違いない。

旅での道中では、様々なネコブルがある。英語を意思疎通の手段とするが、それがうまくいかない場合もある。作者たちは、そこまで英語がペラペラではないようだ。そんな状況で、結構な冒険をしている。

普通に考える東南アジアのお気楽旅行は、ツアーを組み添乗員の指示に従って、滞りなく目的を達成するのが普通だろう。自分たちで計画し、いきあたりばったりでホテルを探す。どこかヒッチハイク的な雰囲気を感じる作品であることは間違いない。

驚かされるのは、あちこちで親切な人に助けてもらうということだ。何か困ったことがあると、こちらの予想をはるかに超えるような助けがくる。これは、女性三人の旅行だからだろうか。困った表情をすれば誰かが助けてくれる。

周りから弱い立場と思われていたのだろう。裏を返せば、とんでもない犯罪に巻き込まれる危険性もあったということだ。女性三人でいきあたりばったりの旅をする。20代前半ではなかなかできないチャレンジングな旅であることは間違いない。

東南アジアでかなり清潔なトイレという描写があったが…。なかなか受け入れるのが難しい環境だ。



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