キャパその戦い 沢木耕太郎


 2016.3.28      戦場を渡り歩く執念 【キャパその戦い】

                     
キャパへの追走 [ 沢木耕太郎 ]
沢木耕太郎おすすめランキング
■ヒトコト感想
キャパその青春」から続く物語。キャパが戦場カメラマンとして成熟していく過程が描かれている。世界各地の戦地で写真を撮る。スペインの内線から日中戦争、そして、第二次世界大戦まで、キャパが戦争写真家として成長していく様がよくわかる。

最愛のパートナーであるゲルダを失ったことにより、一時的に失意のどん底におちるが、そこから復活するキャパ。常に戦争を求める日常が、キャパを変化させていく。戦争がない日常はものたりないと感じはじめるキャパ。このあたり、戦場カメラマンの悲しい性というか、単純な飯のタネというだけでなく、気持ち的に常に戦場に身を置きたいという強烈な思いを感じることができる。

■ストーリー

戦場から戦場へ―戦争写真家キャパは修羅の巷でシャッターを切り続ける。スペイン、中国、北アフリカ、シチリア島、イタリアの最前線で彼のレンズは“戦争”を捉え、伝える。だが、その戦場で、同僚であり最愛の女性だったゲルダを喪い、生涯の友人となった作家のヘミングウェイと出会う。戦場が日常と化したキャパの奮闘は続く。

■感想
戦場から戦場へ渡り歩くキャパ。同じく戦場カメラマンであるゲルダと共に行動をする。恋人も同じ職業であるというのがかなり強烈だ。ライバル意識もあり、相手を尊重する気持ちもある。そして、ゲルダが戦場で死んだ時のショックは計り知れないだろう。

キャパの戦場カメラマンとしてのキャリアの中で、ゲルダの存在というのはかなり大きいように思えた。戦場という過酷な場所で、カメラマンという立場ではあるが、危険度でいうと兵士とそう変わるものではない。そこでのゲルダの存在は、絶対的なものだったのだろう。

スペインの内戦から始まり、日中戦争や第二次世界大戦までにも乗り込んだキャパ。有名な戦場カメラマンであるキャパが、日中戦争で中国側のカメラマンとして写真を撮っていたことに驚いた。戦場カメラマンは戦争がないと仕事はない。

キャパは自分たちに仕事がないことは良いことと語ってはいるが、内心は戦場に対する欲求のようなものが途切れることはない。もはや職業病なのだろう、常に危険と隣り合わせの戦場で、弾が頭上を飛び交う状況を恐怖しながら前に進む。

キャパが作家のヘミングウェイと知り合っていたことにも驚いた。また、ヘミングウェイ原作の小説を映画化した際には、キャパに出演の依頼があったことも衝撃だ。キャパという人物が世界的に有名となり、その名前だけで人を呼べるほどの人物だということ。

そして、戦場カメラマンの性をそのまま表現したような生き方はすごい。常に戦場を渡り歩き、戦場をカメラにおさめる。戦争の悲惨さを表現するだけでなく、様々な影響を与えた人物であることは間違いない。

戦場を渡り歩く者の強烈な執念のようなものを感じてしまった。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp