キャパその青春 沢木耕太郎


 2016.3.7      偉大な写真家の生涯 【キャパその青春】

                     
キャパ その青春 / リチャ−ド・ホイ−ラン、沢木耕太郎
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■ヒトコト感想
報道写真家ロバート・キャパ。訳者のエッセイなどでたびたび登場してきたので、なんとなくイメージはわいている。今で言うところの戦場カメラマンという感じなのだろう。「崩れ落ちる兵士」の写真は見たことがない。キャパについてもほとんど知らない自分が、新鮮な気持ちでキャパの物語を読んでみた。キャパの両親の出会いから始まり、キャパが生まれ成長し、どのような青春時代をすごしてきたのか。

常に金がない状態でありながら、旺盛な取材意欲で写真家としての実績をつんでいくキャパ。とりわけ印象的なのは、常に金がないということだ。取材費を前借し写真を撮り借金を返す。本名とは別にキャパという名前を使うことで、一気にその存在がクローズアップされることになる。

■ストーリー

「崩れ落ちる兵士」―一枚の写真が“戦争の真実”を伝えた。報道写真家ロバート・キャパは、このワン・ショットで世界にその名を知られ、伝説の人となった。1913年、ブダペストに生まれ、1954年、インドシナで短い命を閉じた偉大な写真家の生涯を描く傑作伝記の青春篇。

■感想
有名な写真家らしいが自分は知らなかった。戦場カメラマンとしてどのような実績を残した人物なのか。「崩れ落ちる兵士」という戦争の悲惨さをリアルに写した写真が有名らしい。その写真が本当に撃たれて崩れ落ちた兵士なのか、それとも撮影のための演技だったのか、本作でもそれなりに分析されている。

作中では「崩れ落ちる兵士」の真贋はどうでもよいと語っている。その写真を見て受け取る側がどう受け取るかが問題なのだろう。写真から伝わる何かがあれば、その真贋などどうでも良いのだろう。

キャパの両親の出会いから描かれている本作。キャパが生まれてから成長し、青春時代を過ごすまで。様々な状況にあるのだが、基本的には常に金がない。出版社で写真の仕事をするにしても、カメラまでないので、まずは出版社から借りたカメラを質屋に入れて、金を手に入れてから取材をする。

むちゃくちゃなようだが、そうしなければ成果はだせないということなのだろう。常に金がないという印象は強い。金はなくとも志はあるということなのだろう。

キャパ自身に強烈な愛嬌があり、誰からも愛される人物だったようだ。恋人は当然として、初めて仕事を一緒にする者に対しても良い印象を相手に与える容姿のようだ。戦場カメラマンとして、そのことがどのようなメリットに繋がるのか不明だが、マイナスではないのだろう。

キャパの青春時代から代表作を激写するまでが描かれた本作。その後、死までを文庫3冊で描いているようだ。ロバート・キャパという人物に段々と興味がわいてきた。

偉大な写真家の生涯を読んでみたくなった。



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