キャパその死 沢木耕太郎


 2016.4.16      キャパは超有名人でセレブ 【キャパその死】

                     
キャパ その死 
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■ヒトコト感想
キャパその戦い」から続く物語。キャパが死ぬまでを描いているのだが、驚いたのはキャパが有名人と知り合いであり、キャパ自身もその有名人たちに負けないほどの知名度があるということだ。自分はキャパについては本シリーズを読むまで知らなかった。

それがカポーティと知り合いであったり、ヘミングウェイと仲が良く、さらにはあのハリウッド女優であるイングリッド・バーグマンと、もしかしたら結婚していたかもしれない、ということに驚いた。かなり有名人で日本にも招待されていたらしい。ただ、戦場カメラマンとしての悲しい性なのか、戦場を渡り歩くことが常となり、その結果として、やはり想像していた通り、戦場で死ぬこととなる。

■ストーリー

1944年6月6日、ノルマンディー上陸作戦に従軍したキャパは一番乗りを果たし、戦争写真家の声望をさらに高める。やがて戦争が終り、彼は“失業状態”になるが、女優イングリッド・バーグマンとの恋におちる…。20世紀前半の歴史は戦争の歴史でもあるが、その歴史をレンズで切り取った冒険家はインドシナの戦場で最期を迎える。

■感想
キャパは戦場を渡り歩くことを続けてきたが、戦争が終わると失業状態となる。そこで様々な女性と恋に落ちるのだが、強烈なのは女優のイングリッド・バーグマンと恋に落ちているということだ。あの有名な女優とキャパが恋におちていたとは知らなかった。

さらには、キャパの交友関係はかなりセレブな感じだ。キャパが誰からも慕われ、瞬時にして相手の心の中に入り込むほど人懐っこいタイプらしい。作中で語られるキャパの人間像は、誰も否定的な言葉を言わない。これは有名人としてはすさまじいことなのかもしれない。

戦場を渡り歩くキャパだが、危険を嗅ぎ分ける能力があるらしい。他のカメラマンが躊躇するような場所へも乗り込み、決定的な写真を撮る。自分の太ももを銃弾がかすったという経験をしたときだけ、危険を感じ、その後の戦場への気持ちが少しだけ和らいだらしい。

戦場カメラマンの性として、戦地へ向かうのは当然のことなのだろう。ただ、死と隣り合わせということを忘れることはないはずだ。キャパは戦場カメラマンの宿命として、戦場で地雷を踏み死ぬことになる。遅かれ早かれ、こうなることは誰もが予想していたことなのだろう。

キャパが毎日新聞に招待され、日本にきていたことにも驚いた。キャパは世界的に有名で、日本でも有名人としての待遇を受けていたらしい。戦場カメラマンとしてのキャパの成果をほとんど知らず、本シリーズを読むことで、その実績や有名人具合を感じることができた。

戦争の悲惨さを伝えるためには、キャパは必要だったのだろう。ただ、作者が注釈で描いているように、必ずしも写真を撮った状況がのちに語られる説明と一致するわけではないのだろう。多少大げさにすることで、写真自体のインパクトが増したのもあるようだ。

戦場カメラマンの宿命として、戦場での死は避けられないことなのだろう。



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