騎士団長殺し 第2部 


 2017.12.20      謎が謎のまま終わる 【騎士団長殺し 第2部】

                     
騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 [ 村上 春樹 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
第1部からの謎がさらにパワーアップする。秋川まりえが行方不明となり、私が探し出そうとする。謎の穴や騎士団長の存在や免色と秋川まりえなど、不思議な状況が続いていく。秋川まりえを探し出すために、私は騎士団長を刺し殺す。それがちょうど絵の内容と同じような行動となる。そこにどのような意味があるのか。その惨劇を目にする顔ながを捕まえることで、私は謎の世界に入り込む。

まるで三途の川のような世界が目の前に存在する。私が騎士団長殺しの絵画の世界に入り込んだような状態だ。そして、最終的には穴の中に閉じ込められた状態となる私。その世界が実は謎の穴に繋がっている。まさしく摩訶不思議な世界が繰り広げられている。

■ストーリー
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

■感想
主人公の状況に大きな変化はない。ただ、秋川まりえが行方不明となり、探し出そうとすることがメインとなる。上巻よりも謎はさらに深まる。秋川まりえを探しだすために、騎士団長の指示どおり雨田具彦の元に向かう私。そこにはいつ死ぬかわからない状態の具彦がいた。

騎士団長殺しを描いた雨田具彦がついに登場するが、会話ができる状態ではない。そのため、騎士団長殺しの謎が判明しないまま、騎士団長に言われるがままに、騎士団長を刺し殺そうとする。その光景が具彦の目の前で行われることに意味があるようだ。

騎士団長を刺殺したことにより、顔ながが登場してくる。このあたりになると、具彦の病室は騎士団長殺しの絵の中のような状態となる。驚きの表情を浮かべる顔ながを捕まえ、秋川まりえがいる場所に案内させようとする。

何かにおびえるような顔ながを率いて秋川まりえを探すが、結局のところ、私は最終的に穴の底にたたずむことになる。不思議な世界との繋がりが謎の穴にある。ある程度想定していた流れではある。謎の穴と騎士団長殺しの絵と同じくらい謎な存在である免色についても、その謎が明らかになることはない。

物語がすすむにつれて、秋川まりえが行方不明になった理由は、免色が関係していたという流れとなる。最終的には免色は、表面上は紳士だが、裏では巨大な悪に満ち溢れているような印象がある。私と免色と秋川まりえ。

結局この三人につてい、何か決着がついたかというとそうではない。私はゆずとよりを戻そうとし、秋川まりえは親が免色と親密な関係になることをどこか気持ちよく思わない状態となっている。村上春樹の作品に明確なオチを求めてはいないが、やはり想定通りの流れとなった。

謎の雰囲気をひたすら楽しむべき作品なのだろう。



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