解放者 特殊捜査班カルテット2 


 2018.1.31      すべての黒幕のすさまじい大物感 【解放者 特殊捜査班カルテット2】

                     
解放者 特殊捜査班カルテット2 (角川文庫) [ 大沢在昌 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
特殊捜査班カルテットシリーズ第2段。今回は、タケルとカスミの過去や関係者たちが登場してくる。タケルの家族を皆殺しにしたのがグルカキラーと知るタケル。そして、グルカキラーとカスミの父親が何らかの関係があるとわかる。麻薬を無料配布する音楽イベント「解放区」に潜入し捜査をするタケルたちなのだが…。

カスミの父親の存在がとてつもなく大きく描かれている。すべての黒幕でありながら、カスミを助けるためには自分の部下であろうと射殺する。カスミの父親自身は登場せず、その陰や権力の巨大さばかりが強調されている。カスミの父親がグルカキラーと関係していると知ると、タケルはカスミと距離をあけるようになる。シリーズとして肝になる部分だろう。

■ストーリー
カスミは、タケルとホウを父・藤堂の知人が運営する薬物依存症患者の更生施設に連れてきた。藤堂の組織と活動、警視正・クチナワと手を組んだ理由…今まで言えなかった身の上を打ち明けるために。一方クチナワは、麻薬の無料配布と音楽で若者を集めるゲリラ野外イベント「解放区」と、破壊工作を繰り返す一団に目をつける。潜入捜査を命じられた3人に、巨大な黒幕とチーム分裂の危機が迫る!

■感想
すべてのカギを握るのはやはりカスミの父親なのか。巨大な権力をもち、タケルたちのボスであるクチナワが逮捕しようとやっきになる存在。タケルの家族が皆殺しにされたその実行犯がグルカキラーと判明し、さらにはグルカキラーはカスミの父親と深い関係がある。

本作ではホウの存在感はイマイチだ。相変わらずタケルやホウは暴力でその力を示す。カスミはお色気で相手を誘い出す。カスミに関しては、あべこべに相手の男にはまり込んでしまうパターンも描かれている。

無料で薬を配り、参加する者たちをハイにするイベントがある。それが「解放区」だ。ゲリラ的に開催されるイベント。常識では考えられない状況が瞬時に作り上げられ、千人もの若者たちが集う。となると、警察もおいそれと解散させることはできない。

数の理論でいくと千人の若者を制御するのには、数十人では厳しいのだろう。そんな解放区のイベントに参加し調査するタケルたち。本作ではまだ解放区の真の目的は描かれていない。ヤクザに目を付けられたとしても、巧みにそらすことができる仕掛けが出来上がっている。

クチナワとカスミの父親の関係も不気味だ。特にクチナワは神出鬼没だが、そのさらに上を行きそうなのがカスミの父親だ。凄腕の殺し屋や傭兵を雇いながらも、カスミが殺されるとわかると、すぐさまその傭兵を射殺してしまう。

どこからどうコントロールしているのかわからないまま、カスミの父親の思い通りに物事はすすんでいる。本シリーズのポイントは、間違いなくカスミの父親だろう。グルカキラーや、その他すべてを裏で牛耳る存在としての恐ろしさがある。

次巻により、ある程度カスミの父親の正体は明らかとなるのだろうか。



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