評価:3.5
2018.1.16 怪しげな者たちばかりのチーム 【生贄のマチ 特殊捜査班カルテット】
生贄のマチ 特殊捜査班カルテット 角川文庫/大沢在昌(著者)
評価:3
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■ヒトコト感想
幼いころに家族を虐殺されたタケルが、アウトローとなりタケルが悪と考える相手を粛清していく。そんなタケルの前にクチナワという警視正が現れ、裏の仕事を請け負う特別チームに参加することに…。格闘の技術に長けたタケル。中国語を操り銃器の扱いに長けたホウ。そして、クチナワとの関係が謎に包まれた美少女カスミ。
この3人がチームを組み、潜入捜査を行う。アウトローな感じが良い。タケルはまるで死ににいくように無謀な戦いを挑む。ホウは仲間を失った悲しみを抱えながらチームに参加する。カスミは復讐のために行動しているのだが、それ以外にも何か裏がありそうだ。シリーズ化されているので、今の段階ではキャラクター紹介の色が強い。
■ストーリー
家族を何者かに惨殺された過去を持つタケルは、クチナワと名乗る車椅子の警視正に、極秘の捜査チームへ誘われる。“本社”という組織が麻薬売買目的で企画する音楽イベントへの潜入を命じられたタケルは、会場で二人の若者―中国残留孤児三世としての鬱屈を抱えるホウ、復讐のためイベント企画者の恋人を演じる美少女カスミ―と出会う。孤独な潜入捜査班の葛藤と成長を描く、エンタテインメント巨編!
■感想
幼いころに両親を殺害されたタケルは、徹底して悪を懲らしめようと体を鍛える。そして、町の悪人たちを独自の理論でぶちのめす。そんなことをやっていると、いずれ痛い目を見る。そして、たちの悪いヤクザに殺されそうになった時、クチナワという車いすの警視正に助けられることになる。
これがきっかけとしてクチナワが率いる特別チームに加入させられたタケル。特殊捜査班は警察では手が出せない特殊な事案に対応するために作られたチームだ。そのため、正式な捜査権限のない非常に脆弱なチーム構成となっている。
タケルを筆頭にチームメンバーはひと癖もふた癖もある者たちばかりだ。タケルたちに乗り込まれ、ライブをぶち壊された中国残留孤児三世のホウ。そして、謎めいた美少女のカスミ。それぞれの役割としては、タケルが格闘全般を担当し、ホウは銃器や中国語を担当する。
カスミは、唯一の女ということで女しかできないことを担当している。ただ、すべてを牛耳るクチナワ自身が非常に怪しげな雰囲気がある。過去に同じようなチームを作り、大きな失態を犯したというような描写がある。
本作はシリーズ化されている。そのため、タケルが両親の復讐のためにひたすら活動しているが、復讐相手の手がかりすらまったくつかめていない。また、カスミの秘密についても小出しにされており、全容は明らかになっていない。
チームメンバーの個性は描かれているのだが、その先にどのような展開があるのかは不明だ。潜入捜査官の孤独はしっかりと描かれている。ただ、その先にあるのが、どのような結末なのか。クチナワを筆頭に、怪しげな人物たちばかりだ。
シリーズとしてどのような流れになるのかまったく想像がつかない。
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