2018.2.17 謎のマッカーサープロトコル 【十字架の王女 特殊捜査班カルテット3】
十字架の王女 特殊捜査班カルテット 3 角川文庫/大沢在昌(著者)
評価:2.5
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■ヒトコト感想
特殊捜査班カルテットシリーズの最終巻。カスミが暗躍する。自分の父親である藤堂と、タケルとホウを巻き込み壮大な計画を立てる。複数のヤクザ組織がからみ、さらにはグルカキラーの存在もある。カスミの目的が判明しないため、常にどうなるかわからないまま物語はすすんでいく。
日本最大の暴力組織である「本社」とも対決することをいとわない藤堂。そして、最終巻となり突如登場してきたマッカーサー・プロトコル。戦後から受け継がれる謎の免罪符。その効力はまゆつばものだが、物語としては怪しげなマッカーサープロトコルをめぐる争いとなる。タケルやホウの存在感はうすれている。ここにきて、外野がかなり強烈な存在感を示すようになっている。
■ストーリー
藤堂率いる国際的犯罪組織と、日本最大の暴力組織“本社”の銃撃戦に巻きこまれ、消息を絶った藤堂の娘・カスミ。助からなかったのか、父の下で犯罪者として生きると決めたのか―捜査班はカスミを捜し出し、藤堂を捕えるため、抗争の鍵を握る男・村雲の行方を追う。捜査のうちに行き着いたのは、ある極秘の議定書の存在だった。今までの潜入捜査と4人の過去が繋がる衝撃、感動の完結編が待望の書籍化!
■感想
藤堂が謎のマッカーサー・プロトコルを手に入れた。これは藤堂が持っていても意味がない。巨大なヤクザ組織がもっていてこそ意味のあるものだ。そんな藤堂を手玉にとろうとするのがカスミだ。タケルやホウと潜入捜査犯を組んでいたカスミだが、いつの間にか目的のわからない行動に走る。
特殊捜査班を作り上げ、その目的が段々と明らかになってくる。タケルとホウは自分の目的のために行動する。特にタケルは自分の家族を皆殺しにしたグルカキラーを見つけることに心血を注ぐ。
最終巻となり、グルカキラーを誰がどう動かしてきたのか判明する。巨大なヤクザ組織同士の激しい抗争が始まる。その抗争のカギを握るのは、マッカーサープロトコルを盗み出した村雲の存在だ。最終巻となり、次々と新しい人物が登場してくる。
すべてを裏で操るカスミの父親でもある藤堂の存在は不気味だ。そして、その先には、カスミの真の目的がはっきりとしてくる。タケルとホウはカスミに翻弄させられている。クチナワが何かしら、相変わらず怪しい動きをしているのだが、藤堂やカスミほどの正体不明感はない。
クチナワは藤堂を捕えたい。タケルはグルカキラーに復讐したい。ホウは特殊捜査班としての仕事を行い、カスミはなんらかの怪しげな行動を続ける。グルカキラーはひとりではなく、複数というのでタケルの復讐に対する熱量が少し下がっている。
タケルの目的はほぼ達成されたとして、そこからカスミの行動の怪しさの理由が最後に判明する。藤堂とカスミの親子。そして、カスミの行動の中にはタケルやホウを助けることにもつながっている。最後に、カスミが誰を選ぶか、なんていうちょっと恋愛風味がはいってくることに驚いた。
シリーズとしての集大成がここにある。
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