偉大なる、しゅららぼん


 2017.5.23      いつの間にか世界観にはまり込む 【偉大なる、しゅららぼん】

                     
偉大なる、しゅららぼん プレミアム・エディション 【Blu-ray】 [ 濱田岳 ]
評価:3

■ヒトコト感想
原作はすでに読んでおり、へんな物語でありながら引き込まれたイメージがあった。原作の良い部分が逃さず映像化されている。万城目学の原作の「わけの分からない雰囲気」は、「鴨川ホルモー」と同様だが、それよりも入り込みやすい。人を操る能力や、記憶を操作する力をどうやって表現できるのか。

清子の高飛車な雰囲気や淡十郎のちんちくりんだが、やけにプライドの高い物腰など、映画版の方が映像的なインパクトがあり、強く印象に残っている。ラストの展開もなんだか少し感動してしまう。序盤のわけのわからない能力の話が、いつの間にかごく当たり前になり、最後は結末が気になってしまう。まさに「鴨川ホルモー」と同じ万城目マジックにかかっている。

■ストーリー
琵琶湖畔の街で代々不思議な力を伝承する一族・日出家の本家に修行にやって来た分家の涼介。ある日、本家跡取りの淡十郎の失恋を発端に、世界を滅ぼしかねない大事件が勃発してしまう。

■感想
琵琶湖の湖畔で代々力を持つ家系の日出家と棗家。このふたつの家の争いからスタートする物語だ。本家の跡取りである淡十郎と分家の子供である涼介。二人が同じ高校に入学するのだが、しょっぱなから真っ赤な学生服を着るというぶっ飛んだ流れだ。

学校でヤンキーに目を付けられても淡十郎はどこ吹く風。そのヤンキーはとんでもない制裁を受けることになる。序盤では淡十郎はちんちくりんな風貌だが、高飛車でプライドの高い態度が鼻につく。対しておどおどとした涼介は、好感のもてるキャラクターとなっている。

淡十郎と涼介の日出家とライバルの棗家。棗家の跡取りと淡十郎は激しく対立する。お互いが能力を使うときにとんでもない音が聞こえる。これがタイトルのしゅららぼんの由来なのだが…。序盤から中盤までは、特殊な能力をもった者たちの話が続いていく。

日出家の清子が他人の記憶を読む能力があり、そのせいで引きこもりなのだが、強烈に高飛車でインパクトがある。キャラクターの個性がすばらしく、原作の面白い部分がよく映像で表現されている。

校長が、なぜか両家の力をもち城から出ていけという。ここで校長との激しい戦いが繰り広げられる。日出家と棗家が協力することで新たな力が生まれ、校長をついに倒すことになるのだが…。ラストの黒幕がすばらしい。そして、黒幕を排除した後の感動のラストも良い。

ちんちくりんな淡十郎や謎の能力など、最初は違和感ありまくりだったのが、物語がすすむにつれ、それが普通のことのようになっている。いつのまにか、この世界観にどっぷりとはまり込んでしまったということだ。

原作の良さが十分表現されている。



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