鴨川ホルモー


 2017.5.9      謎のオニ語とヘンな動作 【鴨川ホルモー】

                     
鴨川ホルモー [ 山田孝之 ]
評価:3

■ヒトコト感想
原作をすでに読んでいるため、物語にはすんなりと入り込むことができた。「オニ」をどのように表現するかが心配だったが、想像以上にうまく表現できていた。ただ、物語を駆け足で進めているため、原作の魅力はあまり表現されていない。オニたちへ命令する際に発する謎の言葉と動作。原作ではわからない奇妙な動作が映像化されている。

最初はヘンテコな動作に慣れず、不自然な印象が残っていたのだが、本作を見るうちにそれらの動きに違和感がなくなった。いつのまにかホルモーの世界に入り込んでいたのだろう。恋愛あり友情あり、そしてホルモーあり。予備知識なしに見ると驚くことは間違いない類の青春映画だ。

■ストーリー
2浪の末にようやく念願の京大に入学した安倍は「京大青竜会」というあやしげなサークルに入会。そこでは「オニ」を操り戦わせる謎の祭り“ホルモー”なる行事が行われていた。

■感想
原作の魅力は、京都の大学生がなんだかよくわからないモノに没頭し、ヘンテコな世界を満喫する部分だ。本作でも京都の大学生の奇妙な部分は描かれている。突然、どんな活動をしているのかわからないサークルに勧誘され、いつの間にかホルモーに没頭している。

貧乏で汚らしい部屋に住む学生。くそまじめに伝統にのっとりホルモーに没頭する。オニを操作するオニ語と命令する際の動作は笑いがでてくる。そして、いつの間にかオニ語が普通になる。サークル内での恋愛のゴタゴタなど、ありきたりな青春だがホルモーが絡むと奇妙さが増している。

オニ語の気恥ずかしさや、オニたちとの対決など、中盤になると慣れてくる。そしていつの間にかホルモーの世界が当たり前となり、「ホルモー!」と叫んでちょんまげになることも普通になる。サークル活動が特殊ということを除けば、ごく普通の大学生活と変わりはない。

恋愛でのゴタゴタや、先輩やOBの様々な圧力。これがサッカーや野球などのサークルであれば、どこでも繰り返された光景かもしれない。ライバル大学との対抗戦。まさにホルモーが早慶戦のようになっている。

京都大学が舞台ということで、特殊なキャラクターも登場してくる。オタク風な女子もいれば、エリート然とした男もいる。ホルモーが伝統的競技ということで、そのしきたりも多種多様だ。ホルモーという競技が存在し、サークルに勧誘されたとしても、怪しすぎて決して近づかないだろう。

バラ色のキャンパスライフとは対極にいるような者たち。京都という土地柄が、マニアックさを増大させているのは間違いない。オニたちを操作するオニ語のなんともまぬけな姿がすべてを物語っている。

原作の良さが全て表現できているとは思わないが、強烈な作品であることは間違いない。



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