2017.7.13 家族の絆を重視する 【秘密 THE SECRET】
[DVD] 秘密 〜THE SECRET〜
評価:3
■ヒトコト感想
東野圭吾原作の「秘密」の映画化。日本版はすでに見ているが、本作はリメイク版としてかなり印象が異なっている。事故で母親の精神が娘に入り込む。そこで娘の中に入り込んだ母親と父親の困惑が根本にある。本作では純粋に母親が娘として生活したことで、娘の気持ちが分かったことと、娘と母親の気持ちが通じ合うといった流れだ。
日本版のような、母親がそのまま若者として新たな人生を歩み出す的な要素は一切ない。やはりハリウッド版は、家族の絆を重視した感動路線ということなのだろう。父親が娘に対して嫉妬したり、母親が若い男になびくのを良い気持ちでいない、なんていう描写はいっさいない。
■ストーリー
東野圭吾のベストセラー小説「秘密」をリュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープが映画化!愛する妻と娘に囲まれ満ち足りた生活を送るベンジャミン・モリス。しかしある日、妻・ハンナと娘・サマンサが乗った車が事故を起こし、助手席のサムともども重傷を負ってしまう。病院に運ばれるが、妻は息を引き取り、娘は一命を取りとめたものの、意識が戻った彼女は自分は妻のハンナだと告白する。ベンジャミンもそれを信じるが…。
■感想
原作を読んだ印象としては、父親が娘の中に入り込んだ妻に対して、いろいろと嫉妬を含めた感情が詳細に語られていた。日本版の映画では、母親が娘のふりをして、そのまま若い肉体として生き続けるような描写があった。
ハリウッド版では、それらは一切なく、娘として生活した母親が、娘の気持ちに気づき、家族の絆が深まるという流れだ。強烈なインパクトはないのだが、娘の中に入り込んだ母親と父親のやりとりというのは面白い。アメリカ的な高校生活というのも、物語の大きなポイントかもしれない。
親が知らない子供の姿を知ることにより、親がショックを受ける。これを娘の体に入り込むことで、母親のハンナは感じることになる。いつの時代も、子供は親に隠れて独自の世界を作り上げる。子供の世界を知った親はショックを受ける。
そして、娘の世界を知り理解したハンナは…。ハンナと娘のサムの関係というのは微妙だ。女同士ということで、仲が良いかと思われたが…。娘の体の中に入り込み、娘の日記を読んで娘の本心を理解する。親子の絆が深まる場面だ。
ハリウッド映画らしく、ラストは家族の絆が深まり、娘が元に戻るというわかりやすい展開となる。そこに、母親が娘のフリをするだとか、父親がハンナに嫉妬をするという感情はいっさい見えてこない。シンプルでわかりやすい代わりに、ラストの展開はなんだか物足りなく感じてしまう。
確かに感動はあるのだが、原作のちょっとひねくれた感覚というのを感じることはできない。ハリウッド映画で娘の中に入り込んだ母親が、若い男に興味をもつことに嫉妬する父親なんていうかっこ悪い父親像はありえないのだろう。
日本版とはだいぶ違った印象の作品だ。
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