2017.5.18 グレイウルフ探偵社が大活躍 【GOSICK GREEN】
GOSICK GREEN [ 桜庭 一樹 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
GOSICKシリーズとしてPINKとREDの間にあたる作品だろう。グレイウルフ探偵社を立ち上げ、依頼人の依頼にヴィクトリカと久城が対応するという流れだ。伝説の銀行強盗KIDを阻止することと、セントラルパークの地図を手に入れること。ミステリー的な謎はそれほど特別ではない。紙幣目線でのパートがあり、紙幣が何かしら大きなカギを握っていることがわかる。
社会の景気を良くするために政府が行うのはどんなことなのか。景気がよくなりすぎると、どうなるのか。ヴィクトリカの推理は特別な冴えを見せるわけではない。KIDが銀行を襲うと宣言し、さまざまな仕掛けが行われるが、それらすべてをヴィクトリカは見破り、KIDへとたどり着く。このあたりがメインなのだろう。
■ストーリー
新大陸に到着した早々、難事件を次々解決したヴィクトリカと一弥。開業したグレイウルフ探偵社には早速、依頼人が殺到。脱獄した伝説の銀行強盗・KIDと、マンハッタンの中心にある広大な公園・セントラルパーク。この二つに関する厄介な依頼にヴィクトリカが目を白黒させる中、見習い新聞記者となった一弥も、セントラルパークへ初の取材に向かう。二人の仕事は、思わぬところで大きな陰謀へと繋がって…?
■感想
グレイウルフ探偵社を開業したヴィクトリカと久城。ふたりの元に舞い込んできた依頼はやっかいなものばかり。基本的にシリーズを読んでいることが必須だ。キャラクターが確立されているが、いつものヴィクトリカと久城のちょっとしたラブコメ風な要素は少ない。
どちらかというと探偵としての行動がメインだ。伝説の銀行強盗KIDが脱獄した。KIDの行動を阻止する依頼と、セントラルパークの本当の地図を探す依頼だ。どちらかというと本作のメインはKID絡みにある。
なぜ過去に素人だったKIDが次々と銀行強盗に成功していたのか。そして、最後に捕まり、仲間が皆殺しになったのか。KIDが脱獄し、もう一度銀行を襲おうとする。それを察知したヴィクトリカは、二転三転するKIDの行動に惑わされることなく、KIDの真の狙いを突き止める。
KIDが市民のヒーローとなり、銀行から盗んだ金を市民にばらまく。まさに石川五右衛門的展開だろう。ただ、その裏では景気政策に悩んだ政府の思惑があった。このあたりの展開はすばらしい。
物語は紙幣目線のパートがある。いち紙幣として、最初は牛乳瓶に詰め込まれていたが、遣われ、いろいろな場所へと移動していく。このことが本編とどのように関係があるのか。セントラルパークの地図の件は、単純に人の仕掛けた暗号を解くことで、壁に歪に描かれた地図が本物の地図になっていく物語だ。
このシリーズの売りであるヴィクトリカと久城のラブコメは、本作ではおとなし目となっている。ラストでは、過去シリーズで重要な役割を担ったヴィクトリカの兄が登場してくる。
シリーズのファンであることが前提だ。
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