GOSICK PINK 桜庭一樹


 2016.9.26      新大陸での生活の基盤を作る 【GOSICK PINK】

                     

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■ヒトコト感想
GOSICKの新シリーズ3作目。時系列的にはBLUE,PINK,REDとなるのだろう。新大陸に到着した久城とヴィクトリカ。そこから探偵社を開くまでが描かれている。新大陸へたどり着き、まずは仕事と住む場所を探すというまっとうな久城と、住む場所という概念がないヴィクトリカ。

このあたりヴィクトリカの強烈な世間知らずっぷりが描かれている。対して久城は仕事をして住む場所を探しヴィクトリカを養おうと健気に奮闘する。メインの謎は戦時中の殺人事件なのだが、謎よりも探偵社を開くまでのやりとりを描きたかったのだろう。久城とヴィクトリカがはぐれ、ふたりがそれぞれを探し周るあたりも、本作の面白さのポイントかもしれない。

■ストーリー
新大陸に到着し、一弥の姉・瑠璃の家に身を寄せたヴィクトリカと一弥。自分たちの家と仕事を得るために張り切る一弥は、ヴィクトリカとともにさっそくN.Y.の街中へ。あらゆる人種に喧騒―新世界の謎とも言うべき不可解な人々の暮らしが広がる街で、ふと目を離すとヴィクトリカの姿が忽然と消えていた。

一弥がヴィクトリカを探しニューヨーク中を走り回る一方、ヴィクトリカは思わぬ人物と出会う。助力を請われ、戦時中に起きた未解決事件“クリスマス休戦殺人事件”の謎を解くことになるが…。ヴィクトリカの超頭脳“知恵の泉”が導き出した驚きの真実と、依頼人の正体とは!?

■感想
REDは残酷描写ありのシリアス路線。BLUEはミステリアスでインパクトのある謎。そして、PINKは…。新大陸に渡り、まずは住む場所と仕事を探さなければならない。現実的な久城は仕事探しに奔走し、浮世離れしたヴィクトリカは自由気ままにフラフラとする。

そこで久城とヴィクトリカが離れ離れになり、久城は記者となりヴィクトリカは拘置所へと入れられることになる。ふたりが離れ離れになるのがポイントなのだろう。お互いがお互いを探し続け、最終的には出会うことになるのだが…。REDのバックグラウンドがこの巻で作られている。

ボクシングのタイトルマッチとクリスマス休戦殺人事件が本作の謎のメインとなる。ヴィクトリカが鮮やかに謎を解き明かすのだが、本作ではヴィクトリカがクリスマス休戦殺人事件が起きたその場所に入りこむように推理するのが特徴だろう。

ひとつひとつがスローモーションとなり、それぞれの言い分が異なる状況の謎を解き明かす。正直、このあたりの謎解きに特別なインパクトはない。久城が記者としての才能をはっきし始め、ヴィクトリカが探偵としての力を認識しはじめる部分だ。

久城の姉の瑠璃の家に居候状態の久城とヴィクトリカだが、そこから永住の地を得ることになる。これまた運命的な流れとしては、ヴィクトリカたちが住む場所は、代々探偵社を営業していた場所ということになる。ただ、不幸なことに代々の探偵たちはマフィアに殺されてきたということだ。

ヴィクトリカと久城が新大陸のNYで探偵社として初めての仕事をする。ここから有名になるまでには様々な事件の解決が必要になるのだろうが、GOSICKシリーズから新GOSICKシリーズのREDへ繋がる物語が完成したということだろう。

物語の流れがはっきりと見えてきた。



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