GOSICK RED 桜庭一樹


 2015.12.30      残酷描写ありの探偵もの 【GOSICK RED】

                     
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■ヒトコト感想

GOSICKの新シリーズ。前シリーズでの状況から成長した久城とヴィクトリカが登場する。ヴィクトリカは探偵事務所を構え、久城は新聞社勤務となる。ごく普通にヴィクトリカが特殊な能力をみせて事件を解決する。ヴィクトリカへの依頼内容は、ギャングが連続で殺されるという事件だ。なんの繋がりもないと思われた連続殺人事件に、ひとつの繋がりが見えてくる。

わりとオーソドックスなミステリーだが、すでに前シリーズでキャラクター紹介がすんでいるので、まどろっこしいキャラ紹介がなくてよい。さらには、前作よりもダークな雰囲気となっている。人の体が千切れ飛ぶ描写や、私刑に近い暴行など。キャラクターの資産を効果的に再利用している。

■ストーリー

時は1930年代初頭、ニューヨーク。超頭脳“知恵の泉”を持つ少女ヴィクトリカは探偵事務所を構え、久城一弥は新聞社で働いている。街は好景気に沸き、禁酒法下の退廃が人々を闇へと誘う。ある日、闇社会からの依頼人がヴィクトリカを訪れ、奇怪な連続殺人の解決を依頼する。一方、一弥は「心の科学で人々の精神的外傷を癒やす」という精神分析医のもとに取材に向かっていた。やがてすべての謎はひとつに繋がり、恐るべき陰謀が姿を現す―。

■感想
GOSICKの新シリーズとして、大人になった久城とヴィクトリカが登場する。大人になったと言っても、特別な描写はなく久城は新聞社に勤め、ヴィクトリカは探偵事務所を構えたというくらいだ。キャラの特徴は前シリーズどおり。キャラの関係性も変わらない。

基本は久城が狂言回し役となり、ヴィクトリカが事件の真相を暴く。GOSICKのキャラを使って探偵小説がスタートしたといった感じだろうか。全体的に事件の内容が前シリーズよりも残酷になっている。ギャングが連続して殺されるという内容のためかもしれないが、かなりの変化だ。

久城の新聞社で紹介されたギャングが、数日後に次々と殺される。殺害方法は爆弾あり毒ありと様々だ。不可解な事件の調査を依頼されたヴィクトリカが鮮やかに謎を解き明かす。ひとつひとつの事件に対するヴィクトリカの推理は適格だ。

犯人を特定するまでの流れも非常にシンプルでありながら久城との絡みがきいている。殺されるのがギャングというのがひとつのポイントで、久城の知り合いが関わっているのではと思わされるパターンもある。ミステリーとしての面白さは前シリーズよりも強い。

ギャング連続殺人事件の黒幕の存在は、ありがちなパターンかもしれないが、よくできている。ミステリー小説の定番として、伏線がそれなりにはられている。今までのGOSICKシリーズと大きく違うのは、残酷な流れがそのまま描かれているということだ。

それぞれの事件の犯人たちは、ヴィクトリカの推理により犯行を暴かれる。その結果、ギャングから激しいリンチが待っている。大人になったキャラクターたちには、前シリーズのようなコミカルな展開はなく、ひたすらシリアスな流れが続く。

新シリーズはかなりダークな雰囲気になるのだろう。



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