GOSICK BLUE 桜庭一樹


 2016.7.23      移民1世が作り上げた伝説は… 【GOSICK BLUE】

                     
GOSICK BLUE [ 桜庭一樹 ]
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■ヒトコト感想
GOSICKの新シリーズ2作目。今回は新大陸へ渡った直後のヴィクトリカと久城が描かれている。フロンティアスピリットをもち移民1世となった者の物語は代々語り継がれることになる。新大陸へとやってきて、そこで成功した者たちの物語。移民1世が物語を作り上げ、移民3世が新世界の成功を象徴する高層タワーで豪華なパーティーを開く。

そこで様々な事件が発生し…。今回はヴィクトリカと久城が、人気コミックのワンダーガールの登場人物に見立てられ、そこから高層タワー爆破事件へと繋がっていく。移民1世の成功物語は代々語り継がれていく。が、その物語自体が間違っていた場合。他人のエピソードを横取りしていた場合どうなるのかが描かれている。

■ストーリー

遠い海を越え、ついに辿り着いた新大陸で巻き込まれたのは、新世界の成功を象徴する高層タワーで起きた爆破事件! そのとき、タワー最上階のヴィクトリカと、地下の一弥は――! ?

■感想
ヴィクトリカと久城はついに新大陸へ到達する。時系列的にはREDの前となる。ヴィクトリカと久城は新たな土地で移民としてそこで活動することになる。まずは移民がしいたげられた存在としてあり、移民から成功した者は伝説となる。

移民1世として成功し、成功者の象徴である高層タワーを建てた者もいる。移民の2世、3世たちは1世の成果にぶら下がるように権力を得ていく。今回は人気コミック作品の作者であり、移民3世である男が、ヴィクトリカと久城が自分のコミックのキャラクターに似ていることから関わりが始まる。

高層タワーで爆弾事件が発生する。そこに居合わせたヴィクトリカと、ヴィクトリカを助けようと奮闘する久城。高層タワーの主は移民として成功した1世。そこで自分の伝説を声高に語るのだが…。この移民1世が語る逸話に仕掛けがある。

移民1世の苦労があった上で繁栄がある。2世、3世からすれば伝説的な物語となるはずが、実はその話が…。そこから爆弾事件へとスムーズに繋がっていく。GOSICKシリーズらしい展開は後半に登場してくる。それはヴィクトリカが黒幕とコイントスの勝負をする場面だ。

シリーズとしてREDでは残酷描写が満載だった。本作でも、それに近い部分はあるが、ミステリアスな要素が強い。コイントスの勝負にしても、ヴィクトリカは必ず勝てるという目論見があるわけではなく、相手のトリックを帳消しにしただけで、正当なコイントスの勝負をするだけだ。ということは勝負は五分五分となる。

ヴィクトリカと久城の夫婦漫才的な展開もあり、シリーズのファンにはたまらないだろう。さらにはラストで久城の身内も登場してくるオマケつきだ。

シリーズのファンならば見逃せない内容だ。



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