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　2014.12.25 　　 　　見た目はやり手で中身ヘタレ　【絶対安全エージェント】　　HOME

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評価：3

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■ヒトコト感想
前作「無病息災エージェント」から引き続き、クリスが様々な事件に巻き込まれていく。ユーモアサスペンスのため、血なまぐさい描写はない。そのかわり摩訶不思議な密室殺人や、強固なアリバイトリックもない。クリスが様々なトラブルに巻き込まれ、それを乗り越える物語だ。本作から新たにビッキーという少女が仲間に加わるが、ただドタバタとビッキーに引っ掻き回されるだけだ。

見た目は凄腕エージェントでありながら、中身はヘタレな男クリス。偶然の要素で危機から脱出するパターンもあれば、瞬間的に射撃の腕が上がり窮地を脱したりもする。ワンパターンであることは間違いないが、安定した面白さがあることは確かだ。

■ストーリー
世界各地に支社を持つ国際的ガードマン会社の社長に昇格したクリス。日英混血のハンサムな青年だが、危ないことは避けたい臆病者。ロンドン本社に「顧客を殺されたくなければ100万ドルを払え」という脅迫状が舞い込んだ。美人だが少々オキャンな助手ビッキーと共に、ドキドキ、ワクワク巻き込まれてゆく六つの事件。シティ派ユーモアサスペンス。

■感想
国際的ガードマン会社の社長となったクリスであっても、会長の目が恐ろしく、相変わらずアラスカに飛ばされることを危惧している。クリスの弱みがあるからこそ、会長の無理難題に対して嫌々対応せざるお得ない状況となる。

会長の知り合いのお偉いさんの娘というだけでビッキーを犯罪組織から抜け出させたり、あげくのはてにはビッキーを社員として雇い入れたり。クリス自身の落ち度というよりも、周りからの圧力に屈した結果の災難のような気がしてならない。

クリスが全面的に活躍する物語もあれば、「金髪男は長生きする」のようにストーリーで楽しませようとするパターンもある。売れっ子漫画家に脅迫が舞い込んできた。それを調査するクリスなのだが…。漫画家の弟の命が狙われることになり、クリスたちはどうやって守るのか。

クリスのドジ具合が表現されるわけではなく、ミステリアスな展開を楽しませようとしている。そして、オチへつながる鮮やかな流れ。弟が頭を金髪にしてフラフラしていることが大きなポイントとなる。

このシリーズは本作でとりあえず終わりのようだが、ラストの「そして誰も飛べなくなった」を読んでも、終わりという感覚はない。もしかしたら作者自身もまだ続けるつもりでいたのだろうか。ネタ的にひっぱるのは厳しい内容な気がしたが…。

クリスとビッキーという二人のキャラであってもそこまで広がりはないだろう。前作では有能で美しい日本人秘書が存在したが、さっさと結婚したことでビッキーが登場したのだろう。クリスを支える有能な人物が存在しないことが、前作よりもパワーダウンを感じさせた要因だろう。

シリーズの雰囲気は十分保たれている。