2014.2.20 非日常での不自由 【夕陽が眼にしみる-象が空を1】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
作者の雑文集。いくつかのパートに分かれており、旅に関するエッセイと人物に関するエッセイなどがある。かなり古い作品のため、メインは80年代の出来事や人物についてのエッセイだ。今読むとさすがに時代を感じずにはいられない。が、「深夜特急」に関するエッセイは興味深い。
作者の旅に対するスタンスや、どのような考え方をもっているのか。旅先で旅人とからんでくれるのは、老人と子供だけらしい。理由を説明され確かに納得してしまう。深夜特急とまではいかないが、旅に関するエッセイを読むと、貧乏旅行にでたくなる。不自由な中で感じるちょっとした幸せ。満たされた生活をしていると、非日常での不自由というのに少し憧れてしまう。
■ストーリー
土地についても宿命的な出会いといったものがあるのだろうか。そこに至ることがなければいまの自分はありえなかったというような土地が…。「たったひとつの土地」をひそかに求めながら街を歩く。事実と虚構の狭間にあるものを深く意識しつつ書物を読む。
■感想
旅に関するエッセイは、さすがに世界各国へ旅した作者だけに説得力がある。旅に対するスタンスにしても、憧れてしまう。大荷物は持たず、カメラも必要ない。自分の中では思い出づくりとして、写真は絶対に必要かと思っていたが、作者のように文章として旅の思い出を残せるのなら、それもありなのだろう。
あとは旅に行き慣れているというのもあるのだろう。旅に行く毎に写真を撮っていたら、とんでもない量になってしまう。深夜特急の作者が語る旅のうんちくは説得力がある。
人物に対するエッセイは正直辛かった。80年代に全盛、もしくはちょっと前に全盛期の人物に対して作者が考えを述べているのだが、ほとんどの作家は作品を読んだこともなければ、名前も知らなかった。もしかしたらはずかしいことなのかもしれないが…。
カポーティやヘミングウェイは読んだことがある、それ以外の人物について作品や性格について語られてるのだが、人物を知らないので共感もできなければ反論もわかない。ただ、「そうなんだぁ」という思いで読むしかない。
基本的に80年代のエッセイばかりなので、熱中するのは難しい。あまりに知らない作家や作品ばかりが登場するので、逆に少しでも知っている作品がでてくると、かなり集中して読んでしまう。40年近く前にも、その作品について何かしら語られていたのだろう。
そんな状態なので、最近発表されたある作者の作品が登場してきたときにはかなり驚いた。結局は同タイトルの別作品だとわかったが、瞬間的に頭の中が混乱してしまった。
旅についてのエッセイは興味深い。
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