2014.4.18 オヤジの小言的だ 【世の中それほど不公平じゃない】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
作者の辛口なエッセイは「勇気凛凛」シリーズですでにおなじみだが、それに近い辛口加減だ。週刊プレイボーイにて読者の悩みに答える形なのだが…。やはり印象としては昔の人だなぁという感じだ。うつ病や、女性についての悩みなど、それらについてズバっと答えている。
すべてが正しいとは思えないが、妙な説得力がある。そして、質問者のプロフィールを見ては、「仕事をしろ」だとか「別のことに真剣になれ」など、まっとうなアドバイスをしている。それがすべてではないとは思うが、常識人という印象は強い。それなりに苦労して作家になった作者だけに、週プレに悩みを相談しにくるような人には、手厳しいアドバイスをしたいのだろう。
■ストーリー
悩める相談者たちをまずは一の刃で真っ二つ。返す刀でもうひと太刀。ばっさばっさと斬り捨てたそのあとで、そっと両手をさしのべる……。笑えて、泣けて、勇気が出る。まさに浅田ワールドの「粋」を堪能できる、ぶっちぎりの人生相談書となりました。
■感想
作者と編集者の会話形式で悩みについて答えている。男女の付き合いの話や、不倫の悩み。上司のパワハラや、うつ病の話。そして極めつけは作者の特異分野である博打の話まである。博打の悩みを答えながら、作者の馬券の買い方を説明している。
自分も少しだけ競馬をやるので、作者の買い方は玄人だというのがわかる。単純に当てるために手堅くいくのではなく、博打に勝つためにはどのような買い方が必要かが考えられている。どんなに忙しくとも、競馬をするために土日を空ける、その執念には頭が下がる思いだ。
男女の恋愛についてそれなりに語られている。昔ながらの男尊女卑な考え方が強いように感じた。食事に行けば、男が女に御馳走するのは当たり前。女におごらせるなんてのはもってのほか。ヒモなんてのは男の風上にも置けない、というスタンスだ。
そのため、極端な答えもある。不倫や離婚はしょうがない、が、子供だけは不幸にしてはならない。作者自身が両親の離婚を経験しているだけに、そのあたり、強烈な主張があるのだろう。
上司のパワハラについても語られている。人間的に合わない人は絶対に存在する。もうそうなったら諦めるしかない。ただ、1年くらいで諦めるのは早いらしい。最低でも3年我慢して、それでも上司なり同僚なりとうまくいかない場合は諦めろというスタンスのようだ。
このあたり、昔ながらの根性論が一番よくでている部分かもしれない。まぁ、少しでも厭なことがあれば、すぐにあきらめて逃げてしまう若者たちに対しては、それなりに良い言葉なのかもしれない。
親父の小言的な印象もある作品だ。
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