2014.8.16 自分を卑下して笑いを誘う 【パリわずらい江戸わずらい】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
作者のエッセイの面白さはすでに証明されている。JALの機内誌で連載された本作。作者の最近の人となりと、どのようなことに熱中し何に悩んでいるのかが面白おかしく語られている。多忙にもかかわらず、海外へ積極的にでていくその姿は、まさに人生を楽しんでいるように思えてくる。太り始めたとか、スーツが似合わないだとか、典型的な六十親父だとか、自分を卑下しながら、笑いを誘っている。
担当編集者がオシャレで綺麗な女性編集者ばかりということに、周りから変な誤解を受けるので肩身が狭いと語る。なんだか、大胆なのか繊細なのかよくわからない。旅に関するエッセイが多いので、JALの機内で読みつつ、その日泊まったホテルのアメニティを、作者風に家に持って帰ったりするのだろうか。
■ストーリー
長春で梶井基次郎に思いを馳せ、ナポリでナポリタンを追い求め、ラスベガスでマイケル・ジャクソンと運命の邂逅…超多忙の作家が国内外で遭遇した笑いと感動の出来事を綴った傑作エッセイ集!招かれざる客、六十九次てくてく歩き、ちくわぶ綺譚、華麗なるカレー、チップの考察、アメニティ・グッズ、文明の利器、イタリアン・クライシス、ほか極上の40篇。
■感想
作者の風貌はたまにテレビ番組などで見かけることにより、イメージはできている。作者自身は、新聞に自分の本が宣伝されるとき、自分の顔写真がでることにより、著しく作品のイメージが落ちると語っている。それは「降霊会の夜」らしいのだが、確かに作者の風貌はインパクトがある。
ステレオタイプの太ってハゲたオジサンなので、繊細でロマンチックな作品の印象はない。ただ、見た目と内容のギャップという意味では、かなりインパクトがあるだろう。歳をとっていちだんと太りやすくなったらしいが、作品がすばらしいと、太ったことすらも、すばらしい貫禄に見えてくるから不思議だ。
作者はいくつかダイエットに挑戦したらしい。巷で騒がれているのは低炭水化物ダイエットなのだが、大の炭水化物好きの作者はそれには挑戦しないらしい。本作では、冗談のようなダイエットに、真剣に挑戦している。それは毎朝カレーを食べて、それ以外の食事を腹八分で終えるば、みるみるうちに痩せていくらしい。
ホント?と疑いたくなるのだが、作者は挑戦し、見事現状維持という結果となった。右肩上がりだったのが現状維持なので、ダイエット効果があるのかないのか…。よくわからないダイエットに真面目に挑戦する作者はすばらしい。
全般的にJALの機内誌なので、海外についてのエッセイが多いが、それに負けないほど食べ物についても熱く語っている。ちくわぶが関西にないことには驚いた。ネットワークが張り巡らされた現在であっても、関東と関西では、その存在すら知らない食べ物があることに、驚かずにはいられない。
作者の好きな食べ物はナポリタンだとか、てんぷらだとか、確かに太りやすい料理ばかりだ。ある程度の年齢と恰幅の良さにより、着物が似合うというのは、作家として最も重要なことのように思えるが、作者は普段着も着物でいることに気恥ずかしさを感じているようだ。
確かに、今の時代、小説家がステレオタイプの着物姿だとしたら、なりきりすぎじゃないか?と思ってしまう。
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