杯(カップ) 緑の海へ 


 2014.3.11    日韓W杯の感動を 【杯(カップ) 緑の海へ】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

日韓ワールドカップを、日本と韓国で観戦した作者の観戦記。当時、自分が見て感じた日韓W杯と比較し、作者がどう感想を述べているのか気になるが、試合よりもその他の部分ばかりが印象に残っている。日本と韓国をハードスケジュールで移動する作者が、なにより助かったのが、言葉が通じない韓国での現地の人の親切だったようだ。

反日と叫ばれているが、それは一部の声の大きい人の言葉でしかないのでは?と思えてしまう。その他にも、日本が思う韓国と韓国が思う日本の違いなど、非常に興味深い。サッカーの試合を通して国民性がよく表現されており、作者は韓国がベスト4に残ったことを素直に喜んでいる。八百長だなんだと言われているが、作者はそうは思っていないようだ。

■ストーリー

「最高のもの」に出会う―。自国を応援する楽しみと並ぶ、ワールドカップならではの喜び。自らを「アマチュア」と呼びながらも、W杯サッカーの魅力をそう喝破する著者は2002年、日韓を無数に往還した。東京、ソウル、済州島、横浜、光州…幾多のゲームの興奮を記すと同時に、旅人の視点から両国の土地と人間を深く静かに見つめた、汗と風の香り立つ異色の日韓W杯観戦記/漂流記。

■感想
日韓W杯は印象深い。作者は観戦記を書きつつ、実は映像化にも協力していたことに驚いた。「六月の勝利の歌を忘れない」の元ネタとなる映像についても触れられている。ロッカールームにまでカメラが入り、選手たちの生の様子をとらえる。

自分は映像を見て、チームワークと監督との関係性の良さを感じたが、編集前の映像を見た作者は違った感想を述べている。それはトルシエ嫌いだ。当時メディアでは盛んにトルシエに否定的な意見がなされていたが、作者も同様らしい。結果を出したことはすばらしいが、トルシエの人間性にかなり疑問をもつ記述が目立った。

日本と韓国を行ったり来たりするハードなスケジュールの中で、作者は韓国人の親切さに心打たれたらしい。普通、言葉が通じない外国人をヒッチハイクし、ホテルまで載せてくれるだろうか。対比として日本のボランティアの規則に縛られた融通の利かなさが描かれているだけに、よけい韓国の若者のすばらしさが印象に残る。

本作を読むと、反日は存在しないのでは?と思えてくる。日本が決勝トーナメントで負けて大喜びしたというのはあるにしても、人間個人としては、根本は親切で良い人々なのだろう。

ベスト4に残った韓国とベスト16の日本。この違いを作者なりに分析している。確かに一部あてはまるかもしれないが、韓国の八百長に関しては言葉を濁している。というか、偶然ジャッジが韓国に有利に働いたと考えている。そして、ヨーロッパにあらぬ誤解を受けるとまで…。

意図したものではないというスタンスだが、はたしてそうだろうか。当時テレビで観戦していて、あれほど露骨な八百長はないと思っていたので、現地で観戦すると違った印象なのかと思ってしまう。

なにはともあれ、日韓W杯の感動を思い出してしまった。



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