ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意  


 2013.3.27    中学生日記的か? 【ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

第Ⅰ部の印象は、事件に不明な点はないが、モンスターペアレントや異常な考え方をする子供の異様さが印象に残っている。本作では、中学生たちが、事件の真相を解明するために疑似裁判を起こす。課外授業の一環としての疑似裁判だが、かなり本格的だ。

ただ、いくら本格的な裁判といっても、子供たちのことなので、そこになんら強制力や真実味はない。裁判を通して事件の真実が見えてくる、という流れなのだが、どうしても中学生日記的な綺麗で礼儀正しい中学生という印象を持ってしまう。

しょせんはお遊びという印象が強いが、結末間近に事件のカギをいぎる三宅樹里の強烈な証言が登場してくる。もし、すべてが真実だとしたら…。第Ⅲ部が非常に気になる終わり方だ。

■ストーリー

期間はわずか15日。有志を集め証人を探せ! 14歳の夏をかけた決戦、カウントダウン! もう大人たちに任せておけない――。保身に身を窶す教師たちに見切りをつけ、一人の女子生徒が立ち上がった。

校舎を覆う悪意の雲を拭い去り、隠された真実を暴くため、学校内裁判を開廷しよう! 教師による圧力に屈せず走り出す数名の有志たち。そして他校から名乗りを上げた弁護人の降臨。その手捌きに一同は戦慄した……。

■感想
同級生の自殺が、実は殺人だったのか?疑いをかけられた男子生徒の汚名をはらすため、中学生たちの裁判が始まる。最初はほんのお遊び程度かと思いきや、検事と弁護人が存在し、裁判官や陪審員までも登場する。それらはすべて中学生であり、本物の裁判顔負けのしっかりとしたルールがある。

かなり本格的な裁判で、調査をし証人を用意するのだが、どうしても違和感を覚えてしまう。心の中では、しょせんお遊びだろうという思いが拭い去れない。中学生たちが、なんの強制力もない裁判をするのは、ただの課外授業の一環としか思えなかった。

中学生検事と弁護人はかなり本格的だ。物語としては、大人たちの裁判と変わらないとイメージさせたいようだが、根底に”中学生”というのがあるので、学芸会のようにしか思えない。丁寧な口調で弁護人や検事として真剣に調査する。

新事実や新たな問題や新キャラクターの登場で、事件の真相には確かに近づいている。ただ、裁判の結果がどうあれ、それは身内での自己満足でしかないように思えてしまう。裁判の結果には何の効力もない。そこに真剣になる中学生たちに、違和感を覚えずにはいられなかった。

裁判を準備する過程で、カギを握る三宅樹里が衝撃の告白をする。この三宅樹里の言葉がすべて真実だとしたら、事件には大きな謎が残ることになる。本当に自殺だったのか。自分の中では、自殺は自殺だが、動機に新たな真実が解明されるという流れかと思ったのだが、違う結末の可能性もある。

本作は、裁判の準備が中心として、様々な出来事が起こる。すべての真実が明らかになるのは、第3部なのだろうが、そこでどれだけ予想外の結末となるのか。

第3部へ向けての引きの強さは相当なものがある。




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