小暮写真館  


 2012.1.30  心霊写真の謎をさぐる? 【小暮写真館】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

購入したマイホームが元写真館であるがために、心霊写真を調査することになる英一。1つの写真を手がかりに、そこに写りこむ謎を推理していく。関係者から話を聞き調査する雰囲気は「楽園」に近いかもしれない。ただ、楽園ほど暗い雰囲気はなく、どこかほのぼのとしている。そのため、謎が解けたとしても「そうだったのか」というサラリとした感想しかない。後半になると、心霊写真の調査屋から、だんだんと人との繋がりの話にシフトしていく。謎を解く過程で、人の気持ちを探る場面があるのだが、そのままの流れで1人の女性との関係が描かれていく。強烈なインパクトがあるわけではない。日常にある人間関係の苦労が、ほのぼのと描かれている。当人たちには重要なことなのだろうが、同じような経験をしてきた人には、心に響く作品かもしれない。

■ストーリー

花菱英一の両親は、結婚20周年を機に念願のマイホームを購入する。その家は、もと 写眞館だった築33年の怖ろしく古い家だった。「小暮写眞館」の看板をそのままに していたため、ある日心霊写真が持ち込まれる。英一は、その謎解きに乗り出すが・・・。

■感想
4つの話が描かれているのだが、純粋に心霊写真の調査といえるのは前半の2話だろう。写真に写りこんだなぞの顔を調査する。心霊ではなく、どんな現実的な答えを示してくれるかとワクワクしながら読み進めた。ふたを開けてみると、まぁ、落としどころとしてはまっとうかもしれない。科学的な根拠や、検証はいっさいない。心霊写真の原因は、すべて人の気持ちということで決着をつけている。1話目がこの流れであったので、同じような2話目も、なんとなく予想がついた。ただ、1つの写真から、関係者へとたどりつく過程の面白さはさすがだ。

3話目から、だんだんと心霊写真がメインではなくなってくる。英一とその周辺の人間関係がメインとなり、特に気になるのは、家族と不動産屋に勤務する問題ありの女性との関係だ。家族は、外から見るとなんの問題もなく、仲良く円満な家庭のように思えるが、実は過去に事件があり、今もそのことが密かにくすぶっている。家族の関係というのは難しい。英一ははっきりと悩みとは捕らえていないが、どこかその部分に苦しんでいるように感じてしまった。当たり前の高校生にしては、やけに品行方正なことも、そう思える要因なのかもしれない。

恋なのかそれともただ心配なだけなのか。英一がひとりの女性と密接な関係となる。1,2話の感じであれば、決してそのような関係になる二人ではないはずが、後半からなぜか英一の気持ちが変わってくる。かなり特異な女性であり、男に好かれるタイプではないはずが、なぜか英一は興味を持つ。このあたりの流れにかなり違和感を持ってしまった。前半で植え付けられた、「変わった女」というレッテルが、物語が進むにつれて「いい女」風に思えてくるから不思議だ。ラストには、ちょっとした恋愛小説風な流れになっている。

前半と後半でかなり物語の流れが違うのが、本作の特徴のひとつだろう。




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