一刀斎夢録 上  


 2012.4.8   坂本竜馬暗殺の真相? 【一刀斎夢録 上】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

新撰組の斉藤一が過去を語る。「壬生義士伝」から繋がる物語として、とてつもないワクワク感がある。壬生義士伝では描かれなかった斉藤一の物語。圧倒的な強さと残酷さを持ち合わせた男が、どのようにして幕末の世を生き抜いてきたのか。まず斉藤一のとてつもない強さと、坂本竜馬暗殺の真相が語られている。創作とはわかっていながら、まるで歴史的事実を突きつけられているような臨場感と、斉藤一の相手を殺すために特化した剣技に圧倒されてしまう。新撰組というよりも、人間斉藤一がどのような人物だったのか。近藤勇や土方などとの関係や、沖田との力関係など、新たな歴史を読まされているようで、ドキドキ感は止まらない。新撰組に興味があるならば、ぜひ読むべき作品だろう。

■ストーリー

新選組三番隊長・斎藤一。鳥羽伏見、甲州、会津。そして死に場所を求め、男は西南戦争へ。血風録の中心にあった男が語る、幕末維新と寄る辺ない少年の運命。

■感想
近衛兵に語る斉藤一の昔話。それほど新撰組に興味がなかったが、壬生義士伝を読み、その歴史を知ると新撰組の隊士たちの強さに興味がわいてくる。そんな中でも、断トツの強さと残酷さを持ち合わせえた斉藤一が過去の出来事を語る。どこまで史実に忠実なのかわからないが、正直そんなことはどうでも良い。斉藤一がどんな人物で、どのようにして幕末を生き抜いてきたのか。坂本竜馬暗殺にも、実は斉藤一が関わっていたというのは衝撃だ。誰もが支持する坂本竜馬をどのようにして暗殺したのか。そこには、真実など吹き飛ばすエンターテイメント性がある。

新撰組というと有名どころは多いが、斉藤がその強さを発揮する場面は、まさに時代小説の醍醐味だ。決して正義の味方ではない。人を斬る理論もめちゃくちゃだが、圧倒的な強さと、その鋭い居あいぬきの描写を読まされると、あっという間に斉藤一のとりことなってしまう。歴史的事実から、結末がどうなるのかはわかっている。しかし、最後の最後まで生き残った斉藤一が、どのような人生を歩んできたのか。そこにいたる葛藤や悩みは、もしかしたら下巻で語られるかもしれない。

上巻ではひたすら斉藤一の悪の魅力が語られている。どんな卑怯な手を使ってでも、相手を倒すことに意味がある。剣豪には違いないが、正々堂々の一騎打ちというよりも、相手の隙をつく暗殺に近い。ただ、その変則的な強さであっても、新撰組という歴史の中で強さが証明されているので、自然に興味がわいてくる。斉藤一だけでなく沖田や永倉など、新撰組の有名どころの強さもあわせて語られ、歴史に疎い人でも、たちまちその魅力にとりこまれるだろう。壬生義士伝を読めばさらに楽しめるが、読んでいなくてもまったく問題ない面白さがある。

新撰組のファンならば、間違いなく読むべき作品だろう。




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