GOSICK5  


 2012.3.19   トリックを図解で説明 【GOSICK5】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

GOSICKシリーズ長編5作目。GOSICK4のミステリアスな謎を引き継ぐかと思いきや、今回はやけにシンプルで定番的な流れとなっている。ただ、本作ではとうとうヴィクトリカの母親に関する情報が登場してくる。ファンタスマゴリアという祭りでの奇術トリックは、特別驚くようなことではないが、本シリーズには珍しく図解で答えが示されている。全体の雰囲気としては、謎の孤島へと渡り、そこで人が次々と不審な死をとげていくという、よくあるミステリーのパターンだ。それだけに、シリーズの特徴をどこでだすかというと、ヴィクトリカの出自に関することしかない。おぼろげながら見えてきた世界。長編としてはめずらしく最後に「つづく」となるのは、今までにないパターンだ。

■ストーリー

夏の終わり、山間に位置する聖マルグリット学園を少し早い秋の訪れを感じさせる、涼しい風が吹き抜ける。それは、ある少女の不在を皆に告げているようでもあった―。学園から突如いなくなった金色の妖精・ヴィクトリカ―リトアニアに存在する〈ベルゼブブの頭蓋〉と呼ばれる修道院に軟禁され、生命の危機に瀕していると聞いた、東洋からの留学生・久城一弥は、自らヴィクトリカを迎えに行くことを申し出る。大きな力を持ちながらも、生きることに苦しんでいる小さな少女を助けるために。豪華大陸横断列車〈オールド・マスカレード〉で知り合った、奇妙な乗客たち。そして、ファンタスマゴリアと呼ばれる謎の夜会で巻き起こる殺人事件。徐々に大戦とそしてその裏側で進行する謎が明らかに。果たして、一弥はヴィクトリカを無事助け出すことができるのか?

■感想
ベルゼブブの頭蓋と呼ばれるなぞの島でくり広げられる事件。その前に、世界大戦時に謎のマリア像が空に浮かび上がり、ドイツ軍の戦闘機が次々墜落していくという謎の現象が登場してくる。冒頭の謎には引き付けられ、何か大きな仕掛けがあるものと思っていた。物語はそんなベルゼブブの頭蓋で囚われの身となったヴィクトリカを、久城が助けに行くというところから始まる。謎めいた島というのは、ミステリーの舞台としては当たり前すぎる。怪しげな修道院があるとなれば、ミステリーのお膳立てはすべてそろっている。

今回はあまりヴィクトリカが活躍しない。いつもの、すべてを把握し、的確に事件の謎を解くのではなく、事件が終わったあとに、実はこうだったと告白する。それには理由があるのだが、囚われの身だったということもあり、活躍はおとなし目だ。そのかわり、ヴィクトリカの出自に大きな謎を残す、ヴィクトリカの母親の存在が明らかとなる。衝撃的といえば衝撃的だが、本作はこの「ヴィクトリカの母親」がメインであり、その他はただの添え物にすぎないのだろう。

ラストには、また新たな事件が発生し、そのまま「つづく」となる。今までにはないパターンだ。シリーズとしての雰囲気は整っており、世界大戦やオカルト省や科学アカデミーの存在など、物語を複雑にする要素はすべてそろっている。あとは、灰色狼の末裔といわれているヴィクトリカにどのような秘密があり、それが世界大戦とどう関わっていくのか。久城の存在が、だんだんとどうでもいいものになりつつあるが、それはシャーロック・ホームズでいうところの、ワトソン扱いなのでしょうがないことなのだろう。

図解でのトリック解明はわかりやすい。




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