妖怪馬鹿 京極夏彦


2008.10.24  悪ふざけの一歩手前 【妖怪馬鹿】

                     
■ヒトコト感想
妖怪大談義とはまたちがった趣の作品。どちらも妖怪好きが集まっていることには変わりないが、本作はアカデミックな印象はなく、単純に妖怪好きたちの雑談をまとめたような形かもしれない。内容は題名どおりバカバカしいことこのうえない。それでいて、妖怪に対する愛というものを強く感じられる。丁寧で、言葉を選びながら、学術的なことを踏まえて上品に語るよりも、本作のように、あくまで下品に、思ったことをそのまま口に出すほうが、愛にあふれる対談になるのだろう。読んでいるとくだらないと感じるかもしれない。しかし、そこは妖怪に対する愛ということで許してもよいのではないだろうか。

■ストーリー

京極夏彦プレゼンツ【妖怪を徹底討論7時間!】 京極夏彦とその同志たちが、あやかしの都に大集結! 愛してやまぬ化け物をとことん語った。戦慄の罰当たりトークから、日本文化論まで。これは知的漫才か? 新世紀を切りひらく座談会か? 京極書下ろし漫画も満載の奇書。

■感想
悪ふざけの一歩手前というか、雑談というか。内容的には、ただ妖怪好きが集まって会話をしているだけだ。ページ下段には細かな注釈があるが、正直、それらを丁寧に読むのは疲れる。別に読まなくてもまったく問題がないと思った。くだらなさの極みが、たまに登場する京極夏彦作の漫画である。さまざまな作家の画風を真似て、ちょっとした漫画を描く。最初はゲスト的に登場した漫画家が書いているのかと思ったが、すべて京極夏彦が書いているようだ。くだらない中にも何か光るものを感じてしまう部分だろう。

最後まで読み終わっても結局何が言いたかったのかわからない。それぞれの妖怪好きをアピールし、出会いのきっかけを話す。妖怪が決して商売になることではなく、本当に好きな人にしか、続けて行くことができないという妖怪研究。マニアックだということは十分に感じとることができる。しかし、そのマニアックさの中に売れっ子作家である京極夏彦が加わることで、一気に話はメジャーになっていく。まさか、この手の妖怪研究として本が出版されているとは知らなかった。

本作の中に京極夏彦の名前がなければ売り上げは半減していただろう。おそらく僕自身も読んでいないだろう。雑談をする京極夏彦を読むことができるのは本作だけなのかもしれない。それにどれだけの価値を見出すのかは、その人のファン度しだいだろう。くだらないと言えばくだらない。しかし、対談集のような小難しい文化の話はでてこないので、とっつきやすいのかもしれない。

京極夏彦ファンかコアな妖怪好き以外にはお勧めできない作品ではある。



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