ストレンヂア


 2008.8.13  巨匠の作品ばかりではない 【ストレンヂア】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
カンフー・パンダポニョ。最近よくアニメを見るのだが、そのどちらとも違い、そしてどちらよりも見入ってしまう。まったく予備知識なしに見た本作。こうもタイプの異なるアニメを立て続けに見ると、自分の好みがどうなのかはっきりしてくる。確実に言えるのは、自分は本作が好みだということだ。映像的な技術がどうだとか、CGがどうだとか言うつもりはない。単純に画面を見て、そのスピード感と、激しい剣術シーンはひと時も目を離すことができなかった。わりとよくあるタイプのストーリーなのかもしれない。興行的なものがどうだったのか…。あまり有名ではないので、もしかしたらイマイチなのかもしれない。しかし、日本のアニメの素晴らしさは、本作のような作品にあるのではないかと思えてしまった。ジブリを否定はしないが、好みは本作のような作品だ。

■ストーリー

戦乱の時代。明国の武装集団に追われる仔太郎という少年がいた。逃げこんだ荒寺で仔太郎は、名を捨て刀を封印した不思議な浪人「名無し」と出会う。赤池の領主と連携をとりながら仔太郎を追ってきた武装集団は、そこで名無しと対峙する。仔太郎に隠された秘密はあまたの野心を触発し、名無しはのちの宿敵となる男、羅浪と巡り会う。それぞれの思惑が一気に激流へと変化していく中、果たして仔太郎と名無しの運命は・・・

■感想
目にもとまらぬすばやい動きで、ばったばったと人をなぎ倒していく。血しぶきが飛び散り、残酷な終わりのない殺し合いの連鎖が続く。アニメと言えど決して子供向けではない。確か年齢制限があったはずだ。そうなってくると当然ターゲットは大人なのだが、特に海外を意識しているように感じられた。神秘的な日本という部分と海外も融合させ、さらには侍、刀、チャンバラという日本マニアの外人には大うけしそうなネタがたっぷりとつまっている。海外のアニメと比べると、格段に優れているとわかる映像技術。あの滑らかで、素晴らしい動きはもっと評価されても良いと思う。

ストーリー的には完全なオリジナルということで、多少の説明不足と違和感をもった。二時間弱という時間に、かなり詰め込んだ印象があり、メインは刀と刀のぶつかり合いなのだが、その根底の部分があまり描かれていないので、キャラクターとしての厚みはあまり感じられなかった。主人公だけは、もうしわけ程度にそのあたりのエピソードが語られているが、どうにも弱い。全体的にキャラクターの絵柄と声優の好演に助けられているような気もした。

作中でいくつか衝撃的な場面がある。定石どおりであれば、このキャラクターはもっと最後まで生き残るはずのものがあっさりと死んだり、日本の侍魂というものをもっと前面に押し出すかと思いきや、あっさりと引き下がったり、ある意味期待を裏切っているのだが、嫌な裏切られ方ではない。「おお、そうきたか」というなんだか挑戦的なものを感じてしまい、より、画面に釘付けにされるきっかけとなった。そうなってくると、あとは最後の戦いまで怒涛の展開だ。主役がイマイチインパクトに欠けていたが、それでも面白さを保つのは素晴らしかった。

巨匠と呼ばれる人たちの作品ばかりが注目されるが、それ以外にも十分面白い作品は存在している。



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