崖の上のポニョ


 2008.8.8  やっぱりジブリはジブリだ 【崖の上のポニョ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
良い意味でも悪い意味でもジブリ作品だ。例の、耳にこびりついて離れない独特の歌がインパクトがあるのは当然だが、映像として観衆に与える力はすごい。手書き独特の風合いをいかした絵。直線を使わず曲線だけで、アニメらしいアニメとなっている本作。ここ最近のジブリ作品には欠かせない魔法使いが登場するのはいつものこと。映像的インパクトを残すには、魔法の世界は欠かせないのだろう。子供向けということもあり、細かな説明はされていない。結局何が言いたかったのかよくわからないというのはある。しかし、ジブリはジブリだ。この雰囲気を出せるのはジブリしかない。ワンパターンであっても、子供だましであっても、ジブリ作品はそれだけで価値があるのだろう。

■ストーリー

海を臨む崖の一軒家に住む5歳の少年・宗介は、瓶に入り込んで動けなくなっていたさかなの子・ポニョを助けた。一緒に過ごすうちにお互いのことを好きになる2人だが、ポニョの父親・フジモトによってポニョは海へ連れ戻されてしまう。それでも宗介を想い、人間になりたいと願うポニョは、妹たちの力を借りてフジモトの蓄えた魔法の力を盗み出し、再び宗介の元を目指すが……。

■感想
一目見て、これがジブリ作品だとわかる部分が多々ある。まずは必ず登場する魔法使い。いまさらノンビリ田舎の雰囲気を楽しむトトロのような作品を発表したからといって、一般ウケは難しいのだろう。そう考えると興行的にも映像的にも魔法使いは欠かせないものとなっている。それと共にもう一つの特徴は声優だ。必ずある程度メディアで有名な人物を用いる。それも、本人の素養を無視しているからたちが悪い。特に今回はフジモトの声が…。この声の違和感は結局最後まで慣れることができなかった。作中に必ず違和感を感じる声優がいるのはいつものことなのだが…。

本作がどの程度ヒットするのかわからないが、子供向けといいながら、単純明快というにはちょっと厳しいように感じた。かといって、大人が納得して楽しめるかというと…。物語がはしょりすぎているのか、それとも途中でテーマが変わったからだろうか。ちぐはぐな感じは否めない。ラストのくだりでも、怒涛の展開で、なぜそうなったのか。結局最終的にはなんだかんだと、世界が滅亡するという、いつの間にか世界的な危機が訪れていたり…。いくらなんでも突っ走りすぎだろう。

今回の作品は内容よりもその宣伝活動に成功したのだろう。CM攻勢はいつものことだが、あのインパクトのある歌声はずるい。微妙にへたくそでありながら、一度耳にすると頭の中でなんどもリフレインする。ポニョという語感もその要因となっているのだろう。絵柄的に決して可愛いとは思わないが、映画館での感想として、可愛いという声が多かったのはちょっと意外だった。作中の登場人物がヒトコト言ったように、明らかなる人面魚なのだが、宗介たちはしきりに金魚と言う。それも観客に言い聞かせるようにだ。

悪くはない。ジブリらしい作品といえるだろう。ただ、随所に商業主義的なものを感じたのは気のせいだろうか。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp