スウェプト・アウェイ


 2010.1.27  ガイ・リッチーらしさは無いが良い 【スウェプト・アウェイ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ガイ・リッチー作品は好きだ。しかし、本作だけは見るのをためらわれた。それは評判があまりよろしくなかったからだ。ただ、実際に見ると酷評されているほどひどくはないと思った。逆に今までのガイ・リッチーの先入観を吹き飛ばすような新鮮さを感じた。沢山の登場人物と、複雑に入り混じった脚本がガイ・リッチーの魅力で、見終わった後に結局何が言いたいのか良く分からないのが定番だった。本作はそれらとは対極に位置するような作品となっている。ストーリーもシンプルでわかりやすく、何が言いたいのかはっきりしている。マドンナのキャラもイメージに合っているし、それほどひどい演技だとも思わなかった。ガイ・リッチーの別の一面が見えたような気がして良かった。

■ストーリー

利己的で傲慢なマダムがプライベートクルーズの途中、船乗りと共に無人島に流されてしまう。金も権力も通用しない無人島でマダムは物質文明の中で忘れていた心と真実の愛を取り戻す。

■感想
利己的で嫌なマダムはマドンナにぴったりだ。世間のイメージそのままに、役を当てはめている。そんな怠慢なマダムが無人島生活でどのように変わっていくのか。最初はガイ・リッチー風味があちこちにでていた。独特な音楽と、人を小バカにしたような登場人物たち。前半までは、見るだけですぐにガイ・リッチー作品とわかるだろう。それが、後半になると一気にラブストーリーの様相をていしてくる。多数の登場人物たちが複雑に交錯するのが売りだったのだが、後半はほぼ二人しか登場しない。この部分ですでにガイ・リッチーっぽさはなくなっている。

後半は、ガイ・リッチー作品を期待していた人にとってはショックだろう。ごく当たり前の映画となっている。ただ、そのおかげで間口は広くなったように思う。独特な演出は影を潜めたが、一般的な演出で誰もが理解しやすい作品となっている。わかりやすさを追求し、変にコメディに走ることなく、まっとうなラブストーリーを貫く。あまりにお決まりどおりすぎると感じるかもしれないが、マドンナの雰囲気も悪くなく、相手の男も良い味をだいていた。決して駄作だとは思わない

期待の大きさからだろうか。スナッチ後の一発目が本作となると、騙されたと感じるかもしれない。ここ最近のリボルバーロックンローラにしても、初期の雰囲気にもどっている。そう考えると、ガイ・リッチーが撮った普通の作品としては、最後の作品となるのだろう。世間で酷評されているほど、ひどい作品とは思わない。逆に今までの作品よりも一般受けするのではないかとすら思えてしまう。ラブストーリーとしてのできがどうとか、ラストシーンがどうだとかあると思うが、十分楽しめる作品だった。

世間の評価より、自分で確かめてみるべきだとあらためて思った。



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