2009.1.19 しっかりと定石どおりだ 【機動戦士ガンダムUC 2】
■ヒトコト感想
とうとう登場したガンダム。ガンダムシリーズの定番として、主人公は民間人で、ふとしたことからガンダムに乗り込むことになる。今回もしっかりとその定石どおりだ。昔からのガンダムファンならば、おなじみのパターンである。民間人の若者たちが戦艦に乗り込む。そして、赤い彗星のシャアを思わせるような仮面の男など、申し分ない展開かもしれない。ガンダムを小説で読むということにも慣れ始めたころ、本作のようにビジュアル的にイメージしやすいキャラクターやモビルスーツがでてくるのはとてもよかった。地球連邦軍が完全なる善というわけではなさそうな部分も、これから面白くなりそうな雰囲気をかもし出している。ただ、少し気になるのはこのボリュームだと相当長くなりそうだということだけだろう。
■ストーリー
反政府組織『袖付き』とビスト財団の間で行われていた『ラプラスの箱』を巡る謀議は、地球連邦軍の介入によって破局を迎えた。コロニー内外で始まる戦闘。オードリーを追って戦火の中を走るバナージは、純白のモビルスーツ《ユニコーン》と出会う。
■感想
時代背景とキャラクターをさわりだけ紹介したような1巻と比べ、本作ではとうとう激しいMS同士の戦いが描かれている。そして、アニメでは絶対にタブーとされていた、MSでの戦いにおける一般人の犠牲者というのを余すことなく描いている。これは小説版の醍醐味の一つだろう。激しい戦いには、かっこいい一面だけでなく、その足元にはとてつもない犠牲が払われているということを理解させるような流れだ。このことにより、戦いに対する意識の重要性が際立ち、無駄な戦いなどないという思いをつのらせる。
シリーズの定番ともいえる民間人たちの戦争参加が本作でも登場してくる。これから主人公であるバナージに対して大きく関係してくるであろう民間人たち。本作で主要な登場人物たちはすべて登場し、あとはどのような関係性がでてくるのか、それが楽しみになってきた。もう一つは”ラプラスの箱”をめぐる関係で、地球連邦軍がかならずしも善であるとは限らないという部分だ。勧善懲悪で二分化されているのは確かにわかりやすいかもしれないが、面白みがない。本作は複雑に利害関係が絡まり、まだ、はっきりしないが深みがありそうな世界観だ。
バナージを含めた血縁関係の妙もまた興味深い。なにやら複雑な血縁関係を予測させるスタートとなった本作。ガンダムを動かすにあたっても、限定的なものにしか操作ができないような描写もある。そして、お決まりどおりだがニュータイプとして覚醒していくであろうバナージ。主人公が世間に対して無関心で無感動なように、どこか欠落した部分があるのもガンダムのパイロットとしては定番なのだろう。そんなバナージがどのように変わっていくのか、そして、熱い男となるのか。興味は尽きない。
まだまだ序章に過ぎない本作。全てが終わるまでは一体どれほどの巻数になるのか、すえ恐ろしいものだ。
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