2005.7.17 原作ファンは不満足 【姑獲鳥の夏】
評価:3
■ヒトコト感想
マニアックだが熱烈なファンが多数いる原作の映画化。
僕もシリーズは全て読んでおり、それ以外の作品も読んでいるコアなファンである。
実際に映画化となると不安に思っていたが・・・
その不安は現実のものとなってしまった。
やはりあの独特の世界観を映像化するのは無理なのだろう。
小説を読んだときの人の想像力に勝てる映像作品はありえない。
■ストーリー
昭和20年代末の東京。雑司が谷にある大病院に奇妙な噂が。
なんと院長の娘が20ケ月もの間妊娠、しかも娘の夫が忽然と姿を消したという。
さらにこの病院で新生児が姿を消したり、元看護婦が謎の死を遂げたりも。
これらすべての事件を古本屋の店主であり陰陽師でもある京極堂が解いていくことに……。
■感想
原作者は映画化に対しては断り続けていたらしいが、本作の配役を見てOKしたらしい。
確かに俳優陣は豪華でおそらくシリーズ化を目指しているのだろう、
確かな実力を持った俳優達を起用し、制作費をかけ、CMを沢山流し、映画を成功させるための
要素は十分にそろっているのだろうが、その作品自体が映像化に向かないために
全ての努力が水の泡になってしまっている。
原作の魅力は、マニアックなまでのウンチクであり、それがなければただの探偵小説になってしまう。
事件を妖怪に見立て、ウンチクを理解することによって事件の真相も明らかになってくる、
その醍醐味であるウンチクを堤真一がひたすら話す場面があるのだが、そこがどうにも退屈で
眠たくなってしまう。もともと長セリフを延々と話されてもつらいのに、
その内容が難しいとくれば見ている人を眠りに誘うのは容易なことだろう。
ウンチクを披露している間に何かしら退屈しない、ウンチクを理解しやすい演出があれば
良かったのだろうか?
全てがダメだったわけではなく、映像化することによって印象深くなったシーンもあった。
詳しく言うと面白みがなくなるのだが、トリックの部分は小説で受ける印象よりも
映像化することにより、実物が目の前にあるということで衝撃は大きかった。
最後のシーンも印象深く、原作ファンにとってちょっとだけうれしかったことは
京極夏彦が出演していたところだろう。
これに原作ファンは満足したのだろうか?また、原作を未読の人には理解できたのだろうか?
一抹の不安をおぼえながらも、おそらく原作同様シリーズ化していくであろう本作を
今回の印象がたとえ悪くても、次回作が上映されれば間違いなく見に行ってしまうのは
原作ファンの悲しさであり、宿命なのかもしれない。
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