獅子の門 雲竜編 


2007.12.25 続々登場する強者 【獅子の門 雲竜編】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
オープントーナメントの準決勝第二試合。芥菊千代対志村礼二。この二人の戦いは予想通り激しいものとなる。しかし、あまりに激しく、熱い戦いを描写するすべがなかったのだろうか。前回もそうだったが、戦いが極まってくると、尋常ではない情景描写となる。「殴」という文字を羅列したり、効果音ばかり続けたり。それほど激しい戦いなのだと言いたいのだろうが、それにしてもちょっと衝撃的だった。トーナメントが終わると、鳴海の最後の戦いや、新しい登場人物など、物語がまだまだ続くという流れが作られている。それにしても、まったく終わり方を想像できない作品だ。

■ストーリー

激闘が続く武林館全日本オープントーナメントも、いよいよ佳境へ!芥菊千代と志村礼二、因縁の二人による準決勝のゴングが鳴る!永遠に続くとも思われる死闘は、二人の肉体と精神を、誰も経験したことのない境地に導こうとしていた…!!新たな猛者も登場し、若き獅子たちの運命がまたひとつ、大きな転換点を迎える。

■感想
芥と志村の戦いは、因縁の対決であり、激しくなるのは予想できた。強烈な激しさとお互いの肉体を痛めつけ続ける戦い。決着直前の描写は、読んでいて痛みがこちらにまで届いてきそうなほど激しい描写だった。トーナメントの結末としては、意外だったが、ある意味正しかったのかもしれない。これ以上ないほどの戦いを繰り広げたあと、さらにそれ以上の戦いを決勝で見せるというのは難しいだろう。続けられても、よっぽど変化がなければ、読むほうとしてもダレていたかもしれない。

鳴海と麻生の対決も本作には含まれている。圧倒的不利な状況での鳴海。鳴海の格闘家人生をかけた戦いは、衝撃の一言に尽きる。ワンナイトトーナメントの過酷さ。普通に考えれば一日に三試合もするなどはありえない。しかし、メディア戦略的に必要なもので、それは現在のK-1がきっかけと言っても良い。なんだか鳴海の戦いを読んでいると、ここ最近の決勝でボロボロな戦いを見せているK-1選手を思い出してしまった。

すべてが終わった後に、また新たな強者が登場する。いったいどこまで引っ張るつもりなのだろうか。久我重明の兄である男に対して戦いを挑む男。普通ならば、この手の男はあっさりと負けるのが相場なのだが、とんでもない強さを見せつける。そして、師匠の名前を口にする男。あらたに羽柴彦六、久我重明に並ぶような強者なのだろうか。きりがないと思いながらも、ワクワクしながら読み進めてしまう。これはもう
麻薬にちかい常習性があるのだろう。

次作がでるのはまだまだ先かもしれない。このテンションがどこまで保てるか、作者と読者の戦いだ。

 人狼編



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