2010.11.19 夢の対決が味わえる 【獅子の門 人狼編】
■ヒトコト感想
シリーズとして前作でほぼ主要メンバーたちの戦いが終わったように思えたが、新たな強者が登場し、先の見えない展開となっている。本作では間違いなく鹿久間源がメインだ。飄々としつつ、どんな汚いことをやってでも相手に勝つという執念。本シリーズでは次元の違う強さをみせていた久我重明と対決寸前までいったりと見所は多数ある。武林館トーナメントに登場する者たちの中で誰が一番強いのか。この流れでは間違いなく鹿久間なのだろうが、それ以外にも魅力あるキャラクターはいる。それぞれの分野で圧倒的な力を持つという描写があり、誰も勝てない最強の男なのではと思わせながら、その最強同士が戦うとどうなるのか。夢の対決を味わう気分で読み進めていた。
■ストーリー
武林館が初めて主催する総合格闘技ルールのトーナメントの開催を三月に控え、闘いと勝利に飢えた男たちの拍動が響き始めた。そのなかに、鹿久間源がいた。リザーバーから本選出場権を獲ろうと、鹿久間は奸計をたくらむ。「誰にも負ける気がしない」と言い放つ、彼の実力は!?
■感想
このシリーズは常にワクワクさせてくれる。信じられないような強さを持った登場人物たち。肉体を駆使した戦いだけに喜びを見出し、戦いで死ぬことを願う。そんな格闘技中毒の男たちが、強さだけを求め新たな強者たちとの戦いを繰り広げる。前作までで主要キャラクターたちの戦いは終わったかに思えた。しかし、本作では新たに鹿久間源という戦うために生まれてきたような才能のかたまりが登場する。やる気のない会話やふざけた態度をとりながら、圧倒的なパワーとどんな汚い手を使ってでも戦いに勝とうとする執念。この新たなキャラクターによって物語りに良い意味で刺激を与えている。
様々な分野の強者が登場する中で、圧倒的な強さで負け知らずなのが久我重明と羽柴彦六だ。この二人の頂点を決める戦いというのがこのシリーズの最後となるのだろうが、この二人に迫る勢いが鹿久間にはある。誰もが認める強者が、「あいつは強い」と口にする。圧倒的な強さを示した男のさらに上をいく。へたしたら強さのインフレのようになってしまうが、あくまでも頂点は二人しかいない。頂点の二人は別格として、それ以下の者たちのヒエラルキーはまったくよめない。次作で詳しく描かれるであろう武林館トーナメントでそれなりに序列がはっきりするのだろうか。
強い者と強い者の戦い。矛盾ではないが、なんでも貫く矛とすべてを防ぐ盾。いったいどちらが優れているのか。そんなことを連想させるほど、柔道の分野でずば抜けた力を持った男や、柔術では敵なしの男。さらには空手では絶対的な強さの男。それぞれの修行時代のエピソードから武勇伝まで、詳しく語られれば語られるほど、それらの人物同士の戦いとなるとワクワクせずにはいられない。夢の対決というところだが、終わってみるとあっさり決着がついていたりもする。
このシリーズの唯一の欠点は、次作までがかなり待たされるということだけだろう。
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