獅子の門 清竜編 


2007.12.7 強さの序列があきらかに 【獅子の門 清竜編】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
主役候補である四人が成長し、戦いをくりひろげる。志村礼二と芥菊千代が戦い、竹智完は鳴海と出会い、そして室戸武志はプロレスの道へと進む。なんとなくだが、それぞれの流れが見えてきたような気がした。ただし本作でも圧倒的な存在感を示していたのは、羽柴彦六でもなく、主役候補の四人でもなく、加倉文平でもない、まぎれもなく久我重明だ。圧倒的な強さと信じられないような残虐性。特に弟子の志村に対して行うとんでもない命令はあまりにショッキングで本作全体のイメージとして強く頭の中に残っている。

■ストーリー

志村礼二と芥菊千代が、ついに空手のトーナメント決勝で激突。―果たして勝者は。一方、室戸武志はその鍛え抜いた巨躯を活かそうと、プロレスの門を叩く。が、ここにも危険な牙をもつ男たちがいた。礼二、菊千代、武志、そして竹智完、加倉文平。底知れぬ闘いの海に、敢然と身を投じる若き獅子たち。

■感想
前回までであれば、羽柴彦六がその強さを見せ付けていたのだが、本作ではまったくといっていいほど目立たない。ただの良い親父に成り下がっている。対して久我重明は、強さもそうだが、その精神的な異常性を存分にアピールしている。相手に対しての憎しみと、人を壊すことに対する思い。まさか、いくら悪役だからといって、そこまでやらせるかというほど強烈な場面もある。読んでいて吐き気がしそうなほど不快な場面である。

志村と芥の戦いも衝撃的だ。悪の権化のような師匠を持つ志村と正義の塊のような師匠を持つ芥。この対照的な二人が戦うとどうなるのだろうか。実力的な部分よりも、どうやって決着をつけ、そして、流れを作っていくのか。努力のできる天才である志村に芥が勝てるとは思っていなかったが、意外な展開であるのは間違いない。相手を倒せるただ一つの武器をもつ芥と、最初から様子見ということがない、常に一撃必殺を目指す志村。二人の戦いの激しさは十分に伝わってきた。

どうしても考えてしまうのは、この
主役候補たちの強さの序列だ。今のところは竹智完、加倉文平、志村と芥がほぼ同列で、室戸武志というところだろうか。この流れがこれから先どのように変わっていくのか。まだ成長段階なので、大きく変わることもありえるだろう。特に身体能力にすぐれた室戸武志がどこまで強くなるのか、未知数なだけに、本作の一番のキーポイントになるかもしれない。

物語の流れから考えると作者自身も室戸武志を気に入っており、今後大きくあつかうような気がした。

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