深夜特急3 


2007.5.5 人生観が変わるかも 【深夜特急3】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
インドに行くと人生観が変わるとよく言われている。中国についで人口の多い国。カレー。ヒンズー教。日本人にとってはカレー専門店で働いているインド人のイメージだろう。どのように人生観が変わるのか。本作を読むと人生観が変わるまではいかないが、かなりのインパクトがある。前作ほど旅に出たいという気持ちにはなれない。しかし、インドという国のふところの深さと貧しい人々の生活。最下層の生活はこれまでの作品である程度慣れているはずだが、今回はさらに輪をかけて衝撃的だ。ある意味日本に生まれてよかったと再認識させられるのだが、そう考えるのはインドに行ったことがないからだろう。

■ストーリー

風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。そうやって〈私〉はやっとインドに辿り着いた。カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッダガヤでは最下層の子供たちとの共同生活を体験した。ベナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。そんな日々を過ごすうちに、〈私〉は自分の中の何かから、一つ、また一つと自由になっていった―。

■感想
のんべんだらりとした旅で唯一の懸念事項と言えば健康だろう。ここへきて<私>が大きく体調を崩す。一人暮らしをしていて病気になると、日本でさえも心細くなる。それが言葉の通じない異国の地、ましてそこがインドの田舎町であれば想像を絶する心細さなのだろう。言葉が通じず、暑苦しい中、長時間電車に乗って行動するなど考えただけでも恐ろしくなる。人は病気になると心も弱くなるというが、これほどすさまじい経験をしていると、どんなことが起きてもある程度達観してしまうのだろうか。

どこの国にも貧富の差というものは存在する。日本のように比較的経済格差が少ない国もあれば、中国やアメリカのように大きい国もある。経済格差が大きい国として当然インドもその中の一つではあるが、貨幣価値うんぬんよりもその生活様式に衝撃を受ける。最下層の子供たちとの共同生活が克明に描かれているのだが、同情心や哀れみとは違う、
心の底から湧き出る悲しさのようなものを感じた。何かできるかわからないが、もし、今、目の前に恵まれないインドの子供への募金箱があれば、間違いなく入れてしまうだろう。

ガンジスの恵みを受けたインド。人々の人生観を変えるほどの衝撃。本作からはその何分の一しか恐らく感じ取ることができないだろう。しかし、それでも十分過ぎるほどインドという国の強烈なまでの個性を感じることができた。どれだけボロボロで、どれだけ詰め込まれた満員電車に乗るとしても、今の日本の生活に戻るくらいならインドで生活したほうが良いと言う人もいるらしい。それほど魅力がつまったインドという国のさわりだけでも本作を読むと理解できるのだろうか。

1、2である程度耐性はできているはずだが、それでも衝撃を受けるのはインドという国のすさまじさゆえだろう。

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