プリミバル


 2008.1.21  巨大ワニと民族紛争 【プリミバル】  

                     

評価:3

■ヒトコト感想
迫りくる巨大なワニ。巨大生物のパニックミステリーとホテル・ルワンダのような激しい民族紛争も含まれている。どちらも中途半端であり、つっこみどころは沢山ある。ただ、民族紛争で同じ人間同士が殺しあう描写は残酷で、目を覆いたくなるような場面だ。巨大ワニだけでも手に余るのに、ひそかに民族紛争に巻き込まれるティムたち。巨大ワニのインパクトと、民族紛争の有無を言わさぬ残酷さ、どちらが印象に残っているかというと、民族紛争だ。主役であるはずの巨大ワニが少し色あせて見えるのも本作の特徴の一つかもしれない。

■ストーリー

TVディレクターのティムは、政治家のスキャンダルをスクープしたが、誤報であったため立場が危うくなってしまった。干されたくなければ巨大ワニを生け捕りにして来いと命令され、仕方なくアフリカのブルンジ共和国に向かう。内戦は停戦中だと言う情報だったが、実際にはフツ族とツチ族の争いが続いていた。 戦火の中、川をさかのぼり巨大ワニの棲み処にたどり着いた一行。 ところが、罠を仕掛け待機している間に偶然フツ族による処刑を撮影してしまい、そのことでフツ族による執拗な襲撃を受けてしまう。さらに川からは巨大ワニが襲いかかってきて...。

■感想
現地人から恐れられている巨大ワニ。まずそれを生け捕りしようするのが物語りを複雑なものにしている。現地人が何人も食い殺された巨大ワニはいったいどれほどの大きさで、凶暴性を持ち合わせているのか、それがまず第一の興味だ。ミステリアスで、謎めいた恐怖という流れかと思いきや、割と早めに姿を見せる巨大ワニ。確かに凶暴そうだが、特別びっくりするほど巨大ではない。映画的なインパクトを考えると、もっと、想像を絶するような巨大さを求めていたために、その姿にはほんの少しがっかりした。

本作は巨大ワニだけでなく、民族紛争も大きく関わっている。民族紛争としてすぐさま思い出すのはホテル・ルワンダだ。あの衝撃を彷彿とさせるような、残酷描写と容赦のない殺人。物語の本筋とは多少離れているが、民族紛争における人々の冷酷な行動は、いつ見ても気分の良いものではない。それらに巻き込まれるティムたちだが、巨大ワニだけでも手に余るのに、民族紛争までも加わるとハチャメチャで、もはやどうなるのか結末がまったく想像できない流れとなっている。

結局、巨大ワニはどうなったのか、そして民族紛争は? 映画は終わるが、それらはまったく解決されることはない。ただ、バタバタとにぎやかしに現地に訪れた都会から来たテレビマンという表現が一番なのだろうか。巨大生物モノは、その巨大さとインパクトがすべてだと思う。アナコンダ2もそうだが、ワニが少し大きいだけで、伝説の巨大ワニというイメージはもてなかった。ワニよりも冷酷非道な民族紛争の方がより強い印象を残している。

なんだかんだ言っても、巨大ワニや民族紛争よりも、ティムの仲間が車に撥ね飛ばされるシーンが一番印象に残っている。



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