ホテル・ルワンダ


2006.1.15 傍観者として見る自分 【ホテル ルワンダ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ブラックホークダウンのソマリア紛争といい、今回のルワンダ内戦といい映画を観て初めて知ることが多い。日本にいる限りは他国の内戦など気にすることはないのだろう。しかし本作を見ると改めて弱い者が殺される理不尽さと共に、国連の無力さをものすごく感じてしまう。ホテルの支配人でしかないポールの行動に感動し、勇気づけられるのだが所詮自分も紛争が激しくなると国連のバスに乗って国外に脱出するヨーロッパ人と同じで、自分に関係ない対岸の火事なので傍観者として見ることができるのだろう。

■ストーリー

1994年、ルワンダのフツ族とツチ族による内紛は凄惨を極めていた。4つ星ホテルで働き、フツ族でもあるポール (ドン・チードル) は、ツチ族である自分の妻や近所の人々を守ろうと必死であった。そんな中、内紛を抑えきれないと見たUNのPKOは撤退を決め、全白人がルワンダからの退避を勧告される。残されたポールやホテルの従業員、ツチ族の人々はホテルに逃げ込むしかなかった。フツ族のツチ族虐殺がエスカレートするなか、頼りにならないUNよりも軍の長官に賄賂を渡して守ってもらおうとしたのだが・・・

■感想
日本でルワンダの内戦を知っている人はどの程度いるのだろうか?湾岸戦争やイラク戦争に比べてその認知度は極端に低いと思う。それはおそらく自分達にはまったく関係のないことであり、メディアでもほとんど扱われないからだと思う。しかし、そういったことが本作のように映画として世にでることで多くの人にその悲惨さと国連の無力さを知ってもらうのに役立っていると思う。

本作は部族間の争いの無意味さや虐殺の残酷さを訴えているのだが、それよりももっとも印象に残ったのは海外メディアや国連も含め、ルワンダの内戦に干渉することができなかったことだ。時期的に考えるとソマリア紛争のすぐ後で、ブラックホークダウンで描かれているように米兵に多数の死者を出し、その影響でルワンダに対する干渉も及び腰になってしまったのだろう。国連というあいまいな立場であっても、少しでも内政干渉していればこれほどの虐殺は起こらなかったと思う。

ポールがホテルの支配人という立場ながらも軍の長官や国連の大佐に対して機転をきかせ、どうにかして民衆を守ろうとする。そのポールの行動とは相反するようにポールの妻の行動がどうしても利己的に思えてしまった。極限状態であれば自分の家族や親戚を守るのは当然のことだが、ポールの行動はあまりにまぶしすぎる。

昔の作品にノー・マンズ・ランドというのがあり、これも内戦を描き、無力な国連と興味本位の海外メディアを的確に表現し、とても名作だと思う。今の自分の生活に影響がないことには興味がないのが人間でありそれはしょうがないことだと思うが、遠く離れたルワンダという地でこのような虐殺が行われたということは知っておくべきことだと思った。



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