2005.12.30 宇宙密室ってスケールがデカイ 【朽ちる散る落ちる】
														
														
                                 
            
            
            評価:3
                                                                        
            
															■ヒトコト感想
														六人の超音波科学者から続いているような感じなのだが、
														短編集の地球儀のスライスの中のある作品ともリンクしている。
														前半から中盤にかけて物語がとても壮大になり、CIAまで絡んでくるあたり
														かなり複雑でものすごい黒幕が登場するのかと思いきや、
														後半では一変してかなりこじんまりとおさまっている。
														宇宙密室というかなり難解なトリックがあるのだが、これをトリックとして解明していれば面白かったのだが
														結局これはある種の禁じ手を使ってしまっている。
														前半から中盤にかけてはとても興味深く引き込まれたのだが、
														後半で一気にテンションが下がっているような気がしてならない。無理やり終わらせたような印象をうけた。
														
														■ストーリー
														土井超音波研究所の地下、出入りが絶対に不可能な完全密室で、奇妙な状態の死体が発見される。
														一方、地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていた。
														数学者小田原長治の示唆で事件の謎に迫る瀬在丸紅子は、
														正体不明の男たちに襲われる!前人未到の宇宙密室!
														
														■感想
														六人の超音波科学者から引きずっていた謎をここで全て明らかにしているのだが、
														根本的なことはほとんど明らかになっていない。作中にはいくつもの密室が登場し、
														どれも一筋縄では解けないようなものばかり。
														それに加えてCIAが登場したりとなにやら今までのシリーズから考える
														とかなり大掛かりになっているのだが、その規模のトリックを全て正攻法で解き明かすには
														ページ数が足りなかったのか、一部の密室は完全に無かったことにされている。
														さすがに宇宙密室の元となるレポートには書かれていないことがある、というのにはびっくりした。
														
														もうひとつの密室である屋敷の地下ではかなり大掛かりなトリックが使われているのだが、
														読んでいる者としてはトリックが大掛かりであればあるほど、それを明らかにされた時の印象は
														ふーんと言うほかない。
														限られた情報の中で登場人物と同じようにトリックを解き明かそうとした場合、明らかに
														常識から逸脱した回答を示されると、納得するほか無いのかもしれない。
														
														中盤までのなにやら裏でとてつもないことが起きようとしているような雰囲気があったのだが
														紅子がトリックに気がつくあたりからは、とたんにスケールダウンしている。
														やはり物語の規模的にとてつもなく大きくしてしまうと、
														紅子や保呂草達ではまったく太刀打ちできなくなるのである程度まで抑える必要があったのだろう。
														
														まだVシリーズ自体は続くのだが、なんとなく本作をVシリーズの占めとして扱っても良いような印象を受けた。
														
															
															
            
            
            
          
              
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