六人の超音波科学者 


2005.12.22 漫画にありそうなパターン 【六人の超音波科学者】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
山奥に建てられた超音波研究所、そこにつながる唯一の橋が爆破され、電話も不通となる。
そこで開かれているパーティの最中に死体が発見される。
ってこれだとそのまんま金田一少年の事件簿というか王道すぎるミステリーだ。
超音波科学者というだけで何か怪しさを感じ、今回の事件のトリックはこの超音波がらみで、
得意の理系ウンチクをふんだんに盛り込んだ何か新しい仕掛けを用意しているのかと
楽しみに読み進めてみたが・・・・。特に超音波は関係ないような・・、トリックも平凡だし。
ちょっと超音波科学者というタイトルがついているわりには普通な印象しかなかった。

■ストーリー
六人の科学者が集う土井超音波研究所。そこに通じる唯一の橋が爆破され、
山中深くに築かれた研究所は陸の孤島となった。
仮面の博士が主催する、所内でのパーティの最中に死体が発見される。
招待されていた瀬在丸紅子たちは真相の究明に乗り出すが…。

■感想
超音波をうまく使い新しい殺人トリックでも披露してくれるのかとドキドキしながら読んでいたのだが
平凡な滑り出し、平凡な死体発見、平凡なピンチ、
平凡な解決というちょっと期待はずれに終わってしまった。平凡だから悪いというわけではなく、
それなりに楽しんで読むことはできるのだが森博嗣らしさというのをあまり感じなかった。

かすかに、紅子が科学者達と会話する場面で科学の知識を披露していたというくらいで、
それ以外は普通の閉ざされた山荘での殺人事件だ。ちょっと致命的だと感じたのは
ポイントになる六人の科学者が全然キャラ立ちしていないことだ。
個性がそれなりにあるはずなのにそれがあまり伝わってこなかった。
結局最後まで誰が誰で、どんな特徴があるのかというのがほとんどわからなかった。

小難しいパズル的な要素も少しあったのだが、それが直接事件に大きな関係があるわけでもなく、
激しい怨念や執念というようなものも感じられず、事件そのものに軽い印象を持ってしまった。

今回は紅子が大活躍で、ちょっと最近保呂草におされ気味だったのを取り返したというかたちだ。
紅子ファンの人は読むと満足できるかもしれない。



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