餓狼伝4 


2007.11.9 次巻へ繋がる引きの強さ 【餓狼伝 The Bound Volume 4】

                     

■ヒトコト感想

前回までの強烈な引きの強さは健在だ。しかし、このシリーズの中ではインパクト不足というか、全体的に、これから先の準備段階というような感じだろうか。文七、梅川、葵流、それらがほとんど登場することなく物語は進んでいく。今回、姫川の強さの秘密がほんの少し明らかになろうとしている。それと共に、謎のスクネ流もその圧倒的な技をかすかに感じさせるような描写もある。ただ、松尾象山と力王山の戦いはすさまじいものがある。あの松尾象山が始めてボロボロになるまで戦った相手だろう。本作の主役は間違いなく松尾象山だ。

■ストーリー

姫川に敗れ、魂ごと放浪していた文七の下に、土方がおでん屋の親父にやられたとの報せが届く。陰にちらつくスクネ流…その謎を追ってブラジルからの刺客も来日。力王山VS松尾象山の激闘にも注目が集まる!新・餓狼伝に続くXI~XIIIを合本刊行。

■感想
どんな相手でも”松尾象山”という男に対しては、まったく勝負にならないように思っていた。どれほど強烈な個性を持った人物であっても例外ではない。あの姫川でさえも象山には一度負けている。その圧倒的力をもつ象山が、戦いの中でボロボロになるというのは想像できなかった。それがはっきりと本作の中で読むことができるとは思わなかった。空手の松尾象山とプロレスの力王山。お互いのキャラは似通っており、誰に対しても負ける場面はまったく想像できない二人だ。その二人の戦いはまさに手に汗握る場面だ。

象山のとてつもない強さをアピールしながら、最終的にはスクネ流と関係があると思われる姫川との対決もにおわしている。懐かしいキャラクターである土方が登場し、あの文七も恐れる土方を、あっさりと倒した男がいるというだけで、興味をそそられてしまう。強い男がいて、その男があっさりと倒されるほど、さらに強い男がいる。この
倍々ゲームのような展開では、誰が本当に一番強いのか、それすらわからなくなってくる。

舞台はそろった。スクネ流であったり、松尾象山であったり、ブラジルの柔術であったり。そして、象山と古い知り合いのような雰囲気がある謎の強者だったり。新たに登場した人物たちと、姫川と文七を含んだ面子でいったいどのような戦いがまっているのだろうか。「餓狼伝」としては最終巻である本作が、一番次巻へ引っ張る強烈な引きの強さがある。

このシリーズはまだまだ続くことだろう。そして、その間にも現実世界の格闘技界は大きく動いている。いったい何が最強なのか、恐らく次巻あたりでは、パウンド主体のヒョードル風の人物や、ミルコ・クロコップのような立ち技系も出てくるのかもしれない。現実世界とのリンクを探るのも楽しみの一つだ。

次巻へ



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp