餓狼伝3 


2007.10.31 夢のようなトーナメント 【餓狼伝 The Bound Volume 3】

                     

■ヒトコト感想

前作で登場人物たちの強さの序列がなんとなくわかってきた。そんな中、いきなり新たな謎のキャラクターが登場する。この葵流の者たちが物語りに丁度良いスパイスとなっている。より暗黒な部分が強くなり、負けイコール精神的な部分も含めて死という思いが強くなる。恐らく一度負けてしまうと、このシリーズに登場する機会は、極端に減ってしまう。もちろんそれは主人公の文七以外の話なのだが…。新たに柔術も登場し、より現実に近い方向に物語りは流れていく。

■ストーリー

アメリカの裏社会で息づいていた古流武術・葵流。継承者の葵三兄弟は表舞台に出るべく暗躍を繰り返す。さらに、北辰館・東洋プロレス合同トーナメントが開幕し、文七は姫川に完敗する。スクネ流も登場する新装版第3弾。VIII~Xを合本刊行。

■感想
まず、最初にトーナメント表を見た瞬間、ワクワクしてしょうがなかった。いったいこのメンバーでは、どのような戦いが始まるのか。梶原と丹羽の宿命の対決に、姫川と葵流の底の見えない者同士の対決。さらには柔術を身につけた梅川に葵流の長男。こんな夢の対決をこの巻の中で読める幸せを十分にかみしめながら、ゆっくりと、しかし止まることなく、ひたすら読み続けた。

今回、新たに柔術も登場し、グレイシー柔術を彷彿とさせるような強者まで登場する。今現在の格闘技の勢力図に近づいてきたが、
マウントポジション全盛ということが、これほど衝撃的に描かれている作品を初めて見た。リアルタイムで格闘技を見ていても、その技術や技がどれほど衝撃的かというのはまったく理解できなかった、しかし、本作を読むことで、打撃や寝技以外の新たな展開ということで、ショッキングな出来事だということがわかった。

本作の特徴としては、負ければその人物はほとんど影響力をなくすということだ。その意味で言うと、葵流は次巻にはあまり出てこないだろう。最終的には丹羽、姫川、松尾象山、そして柔術の戦いとなるだろう。どう考えても一番弱いと思われる丹羽がどのような戦いをするのか、そして、姫川の負ける姿を見たいのと、圧倒的な強さで柔術を負かす象山も見たい。

すでに戦いは、ただの戦いではなくなっている。いったいどの格闘技が一番強いのか、そして、何でもありな姫川や松尾象山が負けることがあるのだろうか。本作を読む限りは、生きるか死ぬかをかけた壮絶な戦いしか想像することができない。早く次巻が読みたくて仕方がない。

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