2007.3.15 世界中の人びとへの警告 【不都合な真実】
評価:3
■ヒトコト感想
まず、このセンスあるタイトルに惹かれてしまう。不都合な真実。いったい誰に対して不都合なのだろうか。それは本作を見ていけばおのずと分かることだ。地球温暖化というと一昔前は大騒ぎされていたが、最近それが当たり前のことのようになっている。暖冬で雪が少ないのも地球温暖化のせいだという論調に終始している。じゃあ、その地球温暖化に対する危機感はないのか。オゾンを破壊するフロンガスの規制は有名だが、それ以外に何が実施されているのか、いまいち理解できない。それらすべてを含めて、元副大統領が世界中の人々に警告を発している。本作を見た瞬間ことの重大さに気づくが、それをいつまでも保つためにはあとは本人の気持ちしだいだろう。
■ストーリー
地球の運命があやういバランスをかろうじて保っている中、「ほんの一瞬大統領になりました」と冗談をとばす作者アル・ゴアは、政治家としてのキャリアを通して、人々の関心を地球に迫る温暖化の危機に向けることを使命としてしてきた。ゴアがパワーポイントを使って世界中で続けてきた(本人によると千回を超える)講演内容をそのまま映画化し、図表やグラフ、統計、写真を駆使して温暖化が地球の究極的な環境問題であるという現実(「理論」ではない)に疑う余地を与えない。わかりやすく控えめなアプローチを展開しているにもかかわらず、その内容は大変興味深く、説得力をもって聴衆のもとに届く。
■感想
完全なドキュメンタリー映画だ。データを元に今現実として起こっていることを説明し、今後予想しうる出来事を映像を踏まえて説明している。どの程度真実味があるのか、また、ずいぶん先のことなので安心する人もいるのだろう。しかし、必ずしも遠い未来のことではないような気がする。地球温暖化の結果どうなるのか、いたずらに不安感をあおるような形に思えるかもしれないが、すでに現実問題としてギリギリのところにきているのだろう。ゴアの講演の中には逼迫感のようなものを感じた。
過去にはボウリングフォーコロンバインや華氏911などのドキュメンタリーはあった。それらはコメディを絡めながら面白おかしく権力者に歯向かっているというような印象だった。本作も現在のブッシュ政権に対する批判とも取れるが、直接的ではない。ぼやかしてはいるが、確実に今のアメリカの地球温暖化に対する取り組み方に警告を発している。ギャグに逃げないだけに、真実味がある。元副大統領が講演し続けているというのも、アメリカ社会に対して与える影響というのは大きいのだろう。
のど元過ぎれば暑さ忘れるではないが、今この瞬間、本作を見たあとはそれなりに危機感を持って生活するだろう。しかしそれを継続することができるのか、また一個人としてはどのようなことをすればよいのか。曖昧な部分はあるが、忘れかけた危機意識を呼び起こすには十分な効果があるだろう。どうしても考えてしまうのは、地球が温暖化され海面の水位が大幅に上がったときにどうなるのか。考えるのは自分が今住んでいる場所がどうなるかというものすごく個人的なことだ。世界的なレベルに目を向けるべきだが一般市民は到底そのレベルに達することはできない。それはゴアもわかってはいるが、一人ひとりに意識付けることが大切だと思っての活動なのだろう。
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