2008.1.28 白熊の悲しすぎる結末 【アース】
評価:3
■ヒトコト感想
ディープブルーのパクリ?いや、時期的なものを考えると続編と言ってもいいのかもしれない。皇帝ペンギンほど一つの動物に執着することなく、さまざまな生体を地球規模で語ってくれる。いくつかの生物の生態を非常に興味深く見せてはくれるのだが、その差は激しい。渡辺謙の語りと共に、環境ビデオ的な効果もあいまってか、かなり眠りを誘う場面もある。もちろん、中には相当インパクトがあり、目が覚める場面もある。サメが海中から飛び上がってくる場面では、その巨大さと獰猛さに身震いしてしまうほどだ。その他、映像的に興味を惹かれる部分は多々ある。最後に主役級である白熊の生存危機を地球温暖化と絡めて語るあたり、不都合な真実っぽい終わり方だと感じてしまった。
■ストーリー
50万年前、まだ若い地球に巨大な隕石が衝突した。その影響は大きく、地球の地軸は23.5度も傾いてしまう。しかしこの傾きがあったからこそ、地球には四季のうつろい、寒暖の差、そして生命が生み出されることになったのだ。そんな傾きと太陽の光が作り上げた地球の姿を、北極から南極へと旅をしながら見ていこう。まずは北極に住むホッキョクグマの親子の様子から……。
■感想
ディープブルーのときも感じたことだが、野生の王国がものすごくスケールアップしたら、こんな感じになるのではないかと思った。かわいらしい白熊の子供や、ひな鳥たちの飛び立つ姿。狼から必死に逃げるトナカイの子供や、ライオンの群れに襲われる象。野生の厳しさをそのまま目の当たりにすると、これが、自然の力かと圧倒される部分ではある。ただ、極力残酷な部分を排除しているのはどうかと思う。狼やヒョウが獲物を捕まえても、その後の残酷な場面は登場しない。ライオンに襲われる象であっても、結局、濁されたまま終わっている。観衆には十分に伝わっているとは思うが、なんだか気の抜けたサイダーのように物足りなさを感じてしまった。
地球温暖化はすでに世界規模で問題視されている。さまざまな作品で声高に叫ばれているが、本作は人間だけでなく、動物にも多大な影響を与えているとアピールしている。確かに、本作のような作品で白熊が餓死し、象が水を求めてフラフラとさまよう姿を見せられると、温暖化に対する危機感をあおられる気がする。特に、白熊がフラフラになりながらセイウチと戦い、そして、最後には足を震わせながらゆっくりと横たわる姿は、なんだかとても悲しく、そしてこれが自然界の厳しさなのだと感じさせられる場面でもある。
インパクトのある映像と、めったに見ることのできない映像。ディープブルーのときに感じた最初の衝撃と比べると、幾分やんわりとした感想しかもつことはできないが、本作でしか見ることのできない映像というのは、一見の価値はあると思う。自然の雄大さと厳しさ。すでに終わってしまった野生の王国を思わせる流れを感じ、そのメッセージを敏感に受け取ることができるのは、子供なのだろう。現に、劇場には結構子供がいた。その子供たちは例外なく、目をキラキラさせながら感想を言い合っていた。そういった意味ではいい映画なのかもしれない。
暖かな劇場の中で、渡辺謙の低い声を聞きながら、綺麗な映像を見続けると眠りに落ちる可能性もある。どこまで集中して見られるか、本作を楽しめるかはそれにかかっている。
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