怪しい人びと 東野圭吾


2005.8.2 どこにでもいる怪しい人 【怪しい人びと】

                     
■ヒトコト感想
純粋なミステリーではない作品が多数しめられている短編集。 様々な人間模様が描かれており、物語として非情に楽しめる作品だと思う。 しかし、悲しいことに読み終わった後に特に強く印象に残るような 作品がないということだ。毒笑小説怪笑小説などの中には 強く印象に残る作品があったのだが、本作にはそれを見つけることが できなかった。

■ストーリー
俺は同僚の片岡のデートのために一晩部屋を貸してあげた。 その後、そのことを片岡から聞いた2人の同僚、本田と中山にも部屋を貸すことになってしまう。 3カ月後のある日、いつものように、車から部屋に戻ると、見知らぬ女が寝ていて…。 (「寝ていた女」)あなたのそばにいる優しい人が、いつの間にか怪しい人びとに―。

■感想
怪しい人々、確かに怪しいが普通の人とも言い換えることはできるかもしれない。 特別ホントにあり得ない行動をしている訳ではなく、自然とそうゆう行動を起こしてしまった ということだろう、それはある意味誰でもしてしまう可能性があるということだ。

短編集ということで、電車の中で読むにはちょうど良い分量だったりするので 簡単に読みながらあっという間に終わってしまう。 それは手軽な分、作品自体にインパクトがあったり、何か考えさせられる部分が なければすぐにアタマの中から消えてしまう欠点もある。 現に、僕は本作を読み終わってから全ての作品のあらすじを言えと言われたら 到底無理だろう。 本作はそんな感じで軽く読めるテイストなので、それはそれで構わないと 思っている。

少ない印象の中でもわりと印象に残っている作品は、「灯台にて」という作品で ミステリー部分や怪しい人が出てくるわけではなく、どこにでもいる普通の人が ちょっとした冒険からハプニングに遭うという内容で、最初に二人の人物は 「良い関係」というのを強調されており、その意味が最後に分かるのだが 流れがとても自然でありながらも印象に残っている。

平凡な人々の生活にも、注意深く観察すればどこか怪しい人々と接することが あるというのを思い起こさせられる作品だ。




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