怪笑小説 


2005.6.26 笑えたり、泣けたり 【怪笑小説】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
短編集では面白い物もあればつまらない物もある。 それは好みなのでよいのだが、本作のようにバラエティに富んでいるものは、 どれかが自分の好みに合うだろう。 僕にとっては笑えるものや、しんみり泣ける作品がよかった。 中にはあんまり読む気になれなかった作品もあるが・・・

■ストーリー
年金暮らしの老女が芸能人の"おっかけ"にハマり、乏しい財産を使い果たしていく「おつかけバアさん」、 "タヌキには超能力がある、UFOの正体は文福茶釜である"という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、 周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇「動物家族」…etc. ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間たち!多彩な味つけの傑作短篇集。

■感想
無人島大相撲中継には最後思わず吹き出しそうになってしまった。 それまでの前フリの効果かもしれないが、オチの絵が目に浮かぶようで、 電車の中で吹き出すのを我慢しながらにやりと笑っていた。 なかなか小説を読んで笑うということは、普通はないと思う。 しかし、思わず笑ってしまったのは場面を想像し、その絵を思い浮かべたからだ。 やはり絵を想像すること無しには笑えなかったと思う。

それとはうって変わって今度はあるじーさんに花束をという、どう考えても ある有名作品をパロッてるような作品だが、中身は似てると言えばそうだが、 本質は全然違う物になっている。 作者も本作を長編で書きたかったようだが、是非読んでみたい。 短編で感動させることができる作品は長編ならばなおさらその感動も大きくなると思う。 秘密の例もあるので是非とも長編化してほしいものだ。

当たりがあればはずれもあり、読んでいてどうにも集中できない作品もあった。 あえてどれがそうだとは言及しないが、僕にとって興味がわかない作品があったのは事実だ。 まあ、それも当たり前だと思う。全ての人にオールマイティに受け入れられる作品など あるわけがないので、本作のような短編集はあるていど好きな物があれば、 それで十分だと思っている。

毒笑と怪笑を立て続けに読んだが、どちらかというと毒の方が好きだ。



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