毒笑小説 東野圭吾


2005.6.20 世にも奇妙な物語風 【毒笑小説】

                     
■ヒトコト感想
どこか雰囲気が世にも奇妙な物語に出てきそうだと思って読んでいたら どうも、本作の中の「マニュアル警察」というのが実際に採用されたらしい。 昔から世にも~が好きだった僕としては、この短編集はどれも結構ツボに はまっている。ブラックでいて、どこか啓蒙しているような作品。 特に感動があるわけではないが、楽しく読むことができた。

■ストーリー
塾にお稽古に家庭教師にと、VIPなみに忙しい孫。 何とかゆっくり会えないものかという祖父の訴えを聞いて、 麻雀仲間の爺さんたちが"妙案"を思いつく…。 前代未聞の誘拐事件を扱った「誘拐天国」をはじめ、毒のある可笑しさに満ちた傑作が1ダース! 京極夏彦との特別対談付き。

■感想
買ったときは気がつかなかったのだが、巻末に京極夏彦との対談がのっていた。 京極夏彦の作品はほぼ全て読んでいる僕としては、好きな作家同士の対談ということで それもポイントアップの要因かもしれない。かなりのお得感で一杯だ。 しかし、対談の写真を見ると東野圭吾はとても40代には見えない若々しさだ。

タイトルが毒とあるが、それほどブラックだとは思わない。 現在の社会を風刺するような作品が多く、どれも人間社会にとっての悪い部分を、 軽い笑いを含めながらも警告を発しているように感じた。

本作の中で一作だけ世にも~に採用されているようだが、他にも採用されても良いような 作品が沢山あった。もし、本作が世にも~で放送された話しの原作ですよと言われたら そのまま信じてしまうだろう。それほどあの番組の雰囲気にマッチした作品が多かった。 特に印象に残っているのは「つぐない」という作品で東野圭吾お得意の脳に関する話しが とても雰囲気よくつづられているような気がする。この短編集の中では雰囲気が違う作品だが、 読後感はちょっとしんみりしてしまった。

東野圭吾が純粋なミステリー作家だとは思っていないので、僕の中では本格推理小説よりも 本作のような作品が好きだ。




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