許されざる者(2013)


 2025.4.7    北海道版は悪人が超極悪人だ【許されざる者(2013)】


                     
許されざる者/渡辺謙,柄本明,柳楽優弥,リ・サンイル[李相日](監督、アダプテーション脚本),岩代太郎(音楽)
評価:3

■ヒトコト感想
「許されざる者」のリメイク版。舞台は北海道となり、かつての幕府軍で人斬り十兵衛と恐れられた男が主人公だ。刀を捨てた十兵衛が、弱きものを助けるために立ち上がる。こう書くとオーソドックスなストーリーのような感じだが、実は複雑だ。蝦夷地を支配するのは警察組織だが、かなりやりたい放題だ。序盤では時代錯誤の侍がやってきて幅をきかせる。

それを知った警察署長は、侍をボコボコにしてしまう。この警察署長がラスボスだが、賞金稼ぎの相手は別にいる。女郎の顔を切り刻んだ男を殺すという目的がある。目的を晴らすために十兵衛と相棒のじいさんと若者の3人で町にやってくるのだが…。必ず最初は警察署長たちにボコボコにやられるのが定番と化していいる。

■ストーリー
男たちの覚悟が、女たちの意地が、感情の臨界点を超える。舞台は1880年、北海道。主人公は、幕府軍の残党で、かつては〝人斬り十兵衛〟と恐れられた男。愛する妻と出会い、刀は棄てたはずだった。しかし、妻亡 き後、幼い子供たちと極貧の生活にさらされる日々のなか、昔の仲間が〝賞金首〟の話を持ってやって来る。客にずたずたに切り刻まれた女郎が、街を牛耳る暴力的な支配者に逆らって、自分たちで貯めた金を賞金に敵を討ってほしいと懇願しているというのだ。

自分のためなら二度と手にすることのなかったはずの刀を、男は再び抜き放つ。それゆえに背負うことになる罪も、痛みも、孤独も、すべて黙って引き受けて。子を思うとはかくも切ないものなのか。女たちの誇りとはかくも気高く残酷なものなのか。友を弔うとはかくも凄まじい所業なのか――。強くもあり、弱くもあり、美しくもあり、醜くもある人間の、最後の祈りに、心が、震える。

■感想
オリジナルとテイストが違う。オリジナルはなんだかんだとあるが、結局は主人公のマニーは心底悪人という印象があった。本作では十兵衛は最後まで良い人物のように思えた。そのからくりとしては、悪人の極悪さが本作が際立っているからだろう。

町を暴力で支配する警察組織。時代遅れの侍から刀を奪い取りボコボコにする。特に何か悪いことをしたわけではない侍は、刀を手放さなかっただけでリンチに合う。女郎の顔を切り刻んだ男は、あっさりと無罪放免となる。やりすぎだろう。

十兵衛は仲間と共に隠れながら隙を伺っている。一度、警察組織につかまりボコボコにされている。その場面ではオリジナルと同様にこれでもかと痛めつけられる。警察署長がなぜこのタイミングで十兵衛を殺さなかったのかは…。

刀を捨てた十兵衛が明らかに腑抜けだったからだろう。仲間の老人はその後拷問に合い殺されてしまう。若者は、見事女郎の顔を切りつけた男を殺すことに成功するのだが…。そこに達成感があるわけではない。終始陰鬱な雰囲気となる展開だ。

ボコボコにされたが生き残った十兵衛は、刀を再び持つことになる。。。様々な葛藤の末の決断なのだろう。ただ、勝算があるようには思えなかった。警察たちが集まる女郎宿に押しかけ、そこで警察署長と対決する。いきなりラスボスとの対決だが…。

あっさりと決着はつく。というか、周りに警察が沢山いたはずが、十兵衛ひとりに負けるというのはやりすぎかもしれない。ラストは多少強引な気がした。さらには、弱き者のために立ち上がったというよりは、自分のために立ち上がったような感じだ。

オリジナルとは別のテイストの物語だ。



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